スパイというと、某有名マンガorアニメを思い出しますが、今回は実際にあったスパイ工作についてです。時は第二次世界大戦前から後までです。これはアメリカで公開された秘密文章「ヴェノナ文書(Venona)」(※1)に基づいており、「ホンマに?」、さんま風に言うと「ホンマでっか?」と思うくらいの驚きの内容です。色んなところにスパイが入り、情報が盗まれまくって、ホワイトハウスは実質的に乗っ取られたといっても過言でない話です。そして、広島・長崎の原爆にも関係しています。
「スパイ」というワードが気になる方、スパイ業務を知りたい方、アメリカの事実を知りたい方、ロシアの過去を知りたい方、情報を更新したい方、興味を持たれた方は是非一読ください。
実はアメリカでは第二次世界大戦に関する歴史の見直しが進んでいます。なんと、アメリカ政府は1995年まで40年以上にわたり、大きな秘密を隠していたのです。それは第二次世界大戦中、及びその前後にアメリカなどで行われたソ連(今のロシア)のスパイ活動に関する、約3,000通にのぼる秘密通信(暗号文書)を解読したもの、コードネーム「Venona」でした。その中身を一部、覗いてみましょう。(ちなみに、当時、アメリカとソ連は同盟関係で、ソ連が敵対行動をしていたことになります。)
まずはスパイの業務内容です。
・軍事情報、産業情報、機密情報をソ連へ流す
・情報を意図的に操作する
・不都合な情報を握りつぶす
これらによってアメリカの政策決定に影響を及ぼすことが目的となっております。
では、どういった人たちがスパイ活動をやっていたかというと
●ソ連の諜報機関の人たち
●アメリカ共産党員
●ソ連に協力したアメリカ国民 など
こういったアメリカ共産党員やアメリカ国民がソ連新派になったのは1929年の大恐慌とニューディール政策が関係しています。不況になると過激な思想が救世主の如くもてはやされるのです。
そして、この人たちがどこのアメリカの機関に入っていたかを、その一部を見てみましょう。
●国務省・・・少なくみて6人(アルジャー・ヒス 、 ローレンス・ダッガン など)
●財務省・・・わかっているだけで8人(財務次官補ハリー・デクスター・ホワイト など)
※その内の二人は国務省の最上級高官として10年以上ソ連諜報部に情報を流していた。
●マンハッタン計画関係(ロスアラモス研究所など)・・・クラウス・フックス、セオドア・ホール、ローゼンバーグ夫妻、ディヴィット・グリーングラス 他多数
最後に、これらのスパイ活動で日本に甚大な影響を与えた内容の一部です。
●日米開戦
①財務次官補のハリー・デクスター・ホワイト
→日米開戦のきっかけとなった、日本への最後通牒「ハルノート」の素案作成者
→中国共産党工作員、冀朝鼎(きちょうてい)を中国国民党政府の財政部の上級職に就けることに成功。
②冀朝鼎(きちょうてい)
→1930年代、アメリカにて日本の中国侵略に反対する団体を組織。反日世論を高める工作に従事。
●原爆開発プロジェクト(マンハッタン計画)と広島・長崎に投下された原爆
①クラウス・フックス、セオドア・ホール
→マンハッタン計画の中枢にソ連スパイが科学者として潜入していた
②二つのタイプの原子爆弾
→広島に落とされたタイプで、純粋ウラニウム爆弾
→長崎に落とされたタイプで、プルトニウム爆弾
第二次世界大戦(大東亜戦争)において、日本に責任はないとは言いませんが、何が行われていて日本は負けになったかを知らなければ、正しい歴史認識はできないと思います。我々もこれらの歴史の見直さないと、いつまでも後世に自虐史観を残したままになるのでないかと感じております。少しでも興味を持っていただけたら、本書を手に取って頂ければと思います。
※1 Venona:アメリカ国家安全保障局(NSA)のHP
https://www.nsa.gov/Helpful-Links/NSA-FOIA/Declassification-Transparency-Initiatives/Historical-Releases/Venona/
発行 2019/9/26
著者 ジョン・アール・ヘインズ, ハーヴェイ・クレア
出版社 扶桑社