HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】みんなを幸せにするマグマが凝縮『女性の「ヘルスケア」を変えれば日本の経済が変わる』

 

女性のプライベートな問題として敬遠されがちな生理、その諸問題を解決に導けば女性のみならず企業や社会全体が幸せになる。変わるべき日本の未来がそこに。経営者、男性も必読。

堀江貴文氏と産婦人科医である三輪綾子氏の共著。日本社会における女性の生理の問題、それは、つらい月経前症候群PMS)と呼ばれる様々な症状を我慢してしまうことによる働く女性のパフォーマンスの低下が、社会的経済的に大きな損失を招いており、その額はなんと約5000億円と試算されている。男性中心の社会においては、女性の体の仕組みに対する知識や理解が低いことで無意識のうちに、女性に我慢を強いる土壌があるのだ。その問題を経営者に周知するために始まった“Qプロジェクト”。女性特有の問題に積極的に取り組むことで企業業績が上がる、つまり生理に対する対策は経営的に正しいという事実を経営者に周知するプロジェクトである。

ピルに対する時代錯誤な偏見や女性自身の知識のなさ、数日耐えればやりすごせるなどの様々な理由で、重い症状に苦しみながら耐え続ける日本の女性達。他の先進国と比較しても低用量ピルの使用率は低いままである。多くの先進国では数十年前から薬局で手軽に買える一方我が国においては医師の診察を受けなければ手に入らない。薬局で買えれば個人の利用はしやすいのであるが…など、様々な現在の制度の問題点や将来のあるべき姿なども語られている。

ワクチンの副反応自体があまり知られてなかった時代、子宮頚がんのワクチンであるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの副反応をマスコミが煽り非科学的な情報を大々的に報じた結果、HPVワクチンの接種率が大幅に低下してしまう事態となる。これは子宮頚がんにかかってしまう人が爆発的に増えることを意味し、子宮の一部を切除せざるを得ない状況や、最悪の場合、若年層の女性の死亡が増えることにつながるのだ。
我が国のこの悲劇的な事態を打開したのが、われら堀江貴文氏が率いる予防医療普及協会である。国の制度を変えるまでのプロセスは控えめに言っても読み応え十分である。

三輪氏と堀江氏の並んだ2ショットが印象的な表紙の本書。女性活躍社会にむけて変化する近未来が垣間見える。この景色は歴史的に男性優位の日本の社会構造からは見えにくいのである。女性には人生を助ける実用書となり、男性には女性の理解を助け、将来の社会像を映し出してくれる。若者から経営者まですべての人に手に取ってもらいたい。