意識高いNewsPicksおじさんを誕生させるまでに、影響力を持つようになった経済メディアNewsPicks。
the UPDATEの司会でもおなじみ佐々木紀彦氏による、NewsPicksの経営思想が書かれた本。
親会社であるユーザーベース社の提供するSPEEDAは、企業分析(M&A初期段階における、比較リスト作成等)をあっという間にやれてしまう、化け物みたいなサービスだと感じていた。
その関連会社であるNewsPicksは、コンテンツファーストの非常に面白い企業だ。まず、読者側から課金するサブスクリプションモデルであるため、広告主に依存した体制が生じにくい。次に、テクノロジーがそのコンテンツを支えているということ。自社でしっかりとエンジニアを抱えており、スマホをプラットホームとした経済ソーシャルメディアとして大きく躍進しているようだ。中でも、素人ながら実名でニュースにコメントができる機能はやはり面白く、気づくと意外に見られている嬉しさもある。そして、ベンチマークの一つは、ネットフリックス社とあり、諸々合点がいく。
『セレクト』『コネクト』『プロモート』『エンゲージ』これらは、既存事業を分析する時や、新サービスを考案する時のフレームワークとして使ってみても面白そうだ。特にエンゲージ(=深める)というのは、手間は掛かるけれど、定量ビジネスをやるなら必ず必要な視点だろう。雇用とは企業から見れば、労働力提供サブスクだ。だから、組織でエンゲージメントという概念が広がっているのかもしれない。
異質なモノの組合せ、横串での視点(=編集思考)で思い出すのは、なんといってもソフトバンクの孫正義氏。日々、●●×▲▲×■■の思考訓練を習慣化していると聞く。そして、立てた仮説について、重回帰分析で検証していく技法も、まさに編集思考だと思った。
また、不惑というのは、人生の節目として何か自分を見つめ直すタイミングでもある。本を通して筆者の内省する心や覚悟のようなものも垣間見た気がした。
同世代の人はもちろん、少し上のシニア世代の方たちも、興味を持って読める一冊だと思う。
異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考 (NewsPicksパブリッシング)
- 作者:佐々木紀彦
- 出版社/メーカー: NewsPicksパブリッシング
- 発売日: 2019/10/04
- メディア: 単行本