私の職場には極端にタイプの違う上司がいます。
「仕事ができるが、周りに人間が集まらないタイプ」
「仕事はできないが、周りに人間が集まるタイプ」
非常に不思議でした。
仕事はできるのだが周りに人はおらず、職場では孤立気味になり、誰も彼に意見を言わないため、会議などは沈黙が続きます。正義感や責任感が人一倍強いため、職場での衝突も恐れず、発言も多いです。職場での飲み会にも誘われないタイプの人間です。コミュニケーションをとることができないため、何を考えているのか分からず、敵か味方なのかの判断もできないため、安心もできません。
かたや、仕事ができない上司の周りには人が集まります。職場では何故か徹底的にいじられ、会議では参加した誰しもが発言します。正義感や責任感はほどほどであり、何かあると「愛嬌」や「笑顔」でスルーし、職場での飲み会には有無を言わせずに強制参加です。
コミュニケーションをとる機会が非常に多いため、お互いの考えていることも理解しており、一緒にいて安心もできます。
そこで職場で部署が分かれ、「仕事ができる上司」と「仕事ができない上司」の2人がそれぞれトップになることが発表され、私を含む社員が希望先を聞かれました。
結果は言わずもがな、「仕事ができない上司」に多くの社員が殺到したため、現在も移動先について討論を重ねています。
どうして私たちは自分に降りかかる仕事量や責任が多くなるにも関わらず、「仕事ができない上司」のもとに集まるのでしょうか。
「仕事ができない上司」はなぜ、私たちを「一緒に働きたい」と思わせるのでしょうか。
人間は「対人関係」の中でしか、幸せになれない。
アンドリュー・カーネギーの墓石には「自分より優秀なものを周りに集めた男、ここに眠る」と書いてあります。
「自分が欲している、地位も、名誉も、お金も全部、他人がお前にくれるもんやろ。」と『夢をかなえるゾウ』の“ガネーシャ”は発言してます。
アリババ創業のジャック・マーは「他者を成功と幸せに導くことが、自分の成功と幸せにつながるのです」と言っています。
京セラ創業者の稲盛和夫氏も「利他の心」と説いています。
きっと、何事にも、自分以外の他者を思いやれる人に沢山の良いことが訪れるのでしょう。
思い返せば、「仕事ができない上司」は人がやりたがらない残業も行い、職場での愚痴も丁寧に聞いてくれます。何かに失敗したときにも、フォローはできませんが、その失敗談や今後の改善に関する自分の考えを聞いてくれます。(「仕事ができない上司」からの改善に関する提案は一切ありません。)
掘り下げると、何かアイデアを思い付いた時や、話したいことが見つかったとき、誰に話したいかと考えると「仕事ができない上司」が浮かぶのです。
食事の際の話し相手を選ぶときに「仕事ができない上司」を誘っているのです。
「仕事ができない上司」の持っている能力は「人の話を聞ける」という能力だと私は気づいたのです。
人の三大欲求に次ぐ「しゃべりたい欲」を満たしてくれるのです。
元政治家の田中角栄氏は
「一番大切なのは、何よりも人との接し方だ。それは戦略や戦術とも違う。人間は年に関係なく、男でも女でも好きな人は好きなんだ。」
「人に好かれ、応援されること。」
「人間はそれぞれ“ものさし”がある。相手の“ものさし”に合わせて考えないと失敗するぞ。」
「世の中は最後に人間が動かしている。」
と多くの発言をしています。
「賢者は聞き、愚者は語る」という言葉があるように、「人の話を聞けること」は「相手の気持ちを理解すること」になり、「相手を尊重し、大切にすること」につながっていきます。
そのような技術に基づいた職業が「ホステス」なのです。
「ホステス」という職業は「相手から好かれてこそ」の職業です。
有名な古典やカウンセラーの多くの会話術を「実践」しているのは「ホステス」という職業です。
「気配り」「目配り」「心配り」などを「語る」よりも「実践」しているのは「ホステス」なのです。
私たちは相手との会話が合わなくても「この子、代えてください」と目の前で言われることもありませんが、「ホステス」は指名がもらえなければ生きていけません。
「またあの子に会いたい」「またあの子と話したい」と思ってもらわなければなりません。
どっかの著名な先生方が“語る”コミュニケーション術の本よりも「好かれなければ生き残っていけないホステス」の“実践”のコミュニケーション術をぜひ、本書で獲得してください。
なお、「仕事ができない上司」は自分よりも収入の高い職業の奥様と3人の子供に囲まれていますが、「仕事ができる上司」は未婚です。
「愛情」だけでは美味しい料理をつくれません。
それと同じで人間関係には相手を大切にするためのちょっとした「テクニック」が必要なのかもしれませんね。
昼間は心理カウンセラー 銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方
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