俺のイタリアン、ブックオフ、QBハウス、、、綺麗なビジネスモデルを見ると惚れ惚れする。私もこんな素敵なビジネスモデルを考えたい、関わりたいと思った経験を持つのは私だけではないだろう。本書はそんな意識高いモラトリアム人間達に目がさめる一撃をくれる。
“ビジネスモデルを考えれば考えるほど、起業は失敗する可能性が高くなる”
その根本になるものがアイディアによるバイアスだ。アイディアを持った瞬間に人はビジネスモデル症候群に感染してしまう。自分本位になることの危険性を理解している人ほどバイアスがかからないよう、周囲に意見を求めバランスを取ろうとする。しかしその時点ではもう遅い、アイディアは受け取る情報そのものにバイアスをかけてしまう。本人はフェアに情報を収集しているつもりでも、実は自身のビジネスモデルを肯定する情報しか耳には入れていない。否定やそのビジネスモデルを根底から覆してしまうような情報には、無意識に耳を貸していないのだ。
“ビジネスモデルが無いのにどうやって起業すればいいんだ?”
そう思うだろう。しかし、有名なビジネスモデルを持つスタートアップの多くは、実は初めからそのビジネスモデルを持っていたわけではない。わかりやすい事例の一つがAirbnbだ、書籍も発行しているのでぜひ調べてみてほしい。
机上にさえ無い空論でビジネスモデルを練り込むよりも、まずはスタートダッシュをかけてしまうことが、きっと一番良い選択肢なのだ。
本書はビジネスモデル症候群に感染してしまう原因が個人だけにあるとはしていない。良い起業家を育成しようという、外部環境の影響が強いとしている。決して誰にも悪意があるわけではないにもかかわらず、好意の掛け違いによってもビジネスモデル症候群は蔓延している。漠然とでも起業を検討している方・・・いや、漠然としている今だからこそ、ぜひ本書を手に取ってほしい。
ビジネスモデル症候群 ~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?
- 作者: 和波俊久
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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