『なつのロケット』著作:あさりよしとお(白泉社、2015/12/3)
大好きだった先生が学校をやめてしまう。先生の教育が正しかったことを証明するために、ロケットを飛ばそう。1500キロ飛ぶことができるロケットを。本書はある夏の小学生達によるロケットづくりの物語である。
担任の先生はテストもしない、教科書も使わない。「学問は実践してナンボ」といつもいい、実験の授業ばかり行っていた。しかし自由に授業をしていた先生は責任を取り学校を辞めることになる。
少年たちはこれまで先生に教えてもらって来たことが正しいことを証明するためにロケットづくりに取り掛かる。それもニュースに取り上げられるような1500キロ飛ぶロケットを。
本作品は宇宙工学者の協力のもと書かれているため、実際にこの少年たちと同じ手法でロケットを作ることは可能である。
また、本書には続編?が存在する。『進め!なつのロケット団①』こちらは北海道の大地でロケット政策を行う彼らの悪戦苦闘を描いた実話をもとにした物語である。夏に宇宙に向かってロケットを飛ばす夢は叶うのだろうか。本作と合わせてこちらにも注目していただきたい。
本作品は夢を持ちワクワクした日々を歩んでいた少年時代を思い出される作品となっている。また先生は常々「自分のしたい事をして生きたいか」と、小学生達に問う。評者もこの作品を読んで、少年の心でワクワクした日々を過ごし切りたいと思った。