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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】椎名誠の意外な一面を知る一冊。『きみたちのぼうけん そらと うみと ぐうちゃんと』

 

ぼくが椎名誠の名を知ったのは中学生の頃だった様な気がする。FMラジオで夜間に流れていたラジオドラマで、彼のデビュー作であるエッセイ『さらば国分寺書店のオババ』が放送されたのを聴いたのだ。多分。
そのドラマの出演者は伊武雅刀。確か。
えー、ここまで書いたこと全てが、もうなんだか不確かな表現に満ち満ちているのは、ひたすらぼくの記憶によるものであるからだ。
どういう訳かは知る由も無いのだが、上記ラジオドラマに関しては、Wikipediaにすっかりスルーされているのだ。
だが、まず間違いない。
恐らく、もう一作くらい椎名誠の原作を元にしたラジオドラマが、やはり同じく伊武雅刀出演によってあった筈だが、そちらは非常に怪しい記憶だ。作品名も浮かんでこないし。
ただ、ぼくの頭の中では、椎名誠という人物のイメージは、変なことをおかしな感性で楽しげに書くユニークなエッセイスト、というものにしっかりと根付いているので、多分、一作限りという筈ではなかったに違いない、と思う次第なのだ。
何故ならば、ぼくは椎名誠の本を読んだことがないからだ。情報源はこのラジオドラマ、それからたまに偶然眼にした雑誌のコラムぐらいだったからだ。
だから、今回この本を読んで、初めて「椎名誠って、作家でもあったんだ」と、知ったのだった。どうも済みません。

この本は、昔々に書いた童話『なつのしっぽ』に手を加えたものと、小学校、中学校の教科書用に書かれた『プラタナスの木』、『ヤドカリ探検隊』、『アイスプラネット』が掲載されている。
一作毎に、対象年齢が上がっていくのだ。
共通しているのは「冒険」。
さすが海外を含め、様々な冒険旅行をしている椎名誠である(ぼくだって、そのくらいのことはちゃんと認識してるのだ。うん)。
やってみたいな。行ってみたいな。
そんな、ワクワクする感じ、してくるもんね。
作品たちの後には、『シーナのきまぐれ自著解説』、『あとがき』、『ぐうちゃんへ』というおまけも付いていて、どういう発想や成り行きでそれぞれの作品が出来上がったのかが分かり、そちらも面白い。

おっさんであるぼくも楽しく読めた本書。
振り返れば、子ども心に冒険や探検と思えた出来事ってあるもんだよね。
現代の子どもたちにとっては、冒険ってどんなもんなんだろう。
いつの時代であっても、色々な出来事に胸躍らせて欲しいなぁ。

きみたちのぼうけん そらと うみと ぐうちゃんと
作者:椎名誠(作), 沢野ひとし(絵)
発売日:2021年10月8日
メディア:単行本