本書は、イギリスの小説家チャールズ・ディケンズの原作を元に、堀江貴文氏主演ミュージカル『クリスマスキャロル』の脚本にあわせて作られ、絵本化されたものである。
そのため、堀江貴文氏にちなんだエピソードも数多く含まれ、他にはないユニークなストーリーに仕上がっている。また、心暖まる劇中歌は、その部分を読むだけでも何だかワクワク楽しくなってくるものだ。
本書の特徴は、ストーリーのみならず、絵本自体を堀江貴文イノベーション大学校(HIU)のメンバーの協力により、作られたところだ。もちろんプロの絵本作家ではない。メンバー同士がプロジェクトを立ち上げ、文章を校正し、また、堀江貴文氏が主宰する「ゼロ高等学院」の生徒がキャラクターをデザインし、多くの素人達の手により出来上がった作品だ。まさに本書は、素人でも人気絵本作家になれることを証明したものなのだ。
メンバーは誰でも、その進捗状況を確認できるため、評者も出来上がっていく様子を見守っていた。タフなスケジュールにハラハラしたが、メンバー同士が協力しあい、公演までに無事出来上がった。実物を手にすると、その出来映えにさらに感動は高まる。メンバー達の実行力のお陰もあり、ミュージカル会場内でも大人気で売れ行きは好調だ。
世の中の状況により、舞台やイベントは、自粛する傾向が続いているが、きちんとした対策のもとに行った公演は大盛況。観客は、一様に感動し、昨今の暗いムードを忘れさせてくれるひとときであった。
堀江貴文氏が演じるサンタクロース姿のエビニーザ・スクルージが、歌って踊るその姿は何とも愛くるしい。堀江貴文氏もミュージカル俳優としては全くの素人でスタートし、初演の当時は、スキップできないところから練習を始めたそうで、その努力は凄まじい。
評者もスタッフとして参加したが、サンタの衣装を身にまとい、コース料理をサーブする。どれをとっても普段は、全くもって体験することがない未知の世界。それがまた面白いのだ。世の中の人たちが、楽しみに満ちた時間を送れるように、素人だからこそわかる魅力を、今後も演劇の世界にもたらしてほしい。