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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】僕は幸せの神様に見放されてると思っていた 『クリスマスキャロル』

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のんちゃんだ!!絵本を手に取った時、舞台の稽古をしていた頃を思い出し、懐かしくて涙が出てきた。表紙はクリスマスツリーを見上げている少年の後ろ姿。思わずHIU版クリスマスキャロルで少年を演じたのんちゃんの姿と重ね合わせてしまう。とても繊細で美しく厳かな雰囲気。後ろ姿で表情が見えない分想像が掻き立てられる。タイトルのフォントが小さいところも少年の幸せのささやかさを表してるようで好きだ。

本書はお金さえあれば幸せになれると思い込んでいる主人公が、悪行を悔い改め人を愛し、クリスマスをお祝いするようになる物語。舞台クリスマスキャロルを子供向けに絵本にしたものだ。

読み進めていてもワクワクが止まらない。ストーリーが面白いのはもちろんのこと、とにかくオシャレな挿絵は迫力がすごく、ミュージカルが原作なので歌も多い。全ての曲を歌ってしまうので、とても楽しくなりなかなか先に進まない。

本書の制作には評者も出演した舞台、HIU版クリスマスキャロルのメンバーが多く参加している。挿絵の人物の配置などを見ても、あの時同じ景色を見ていたからこそ同じ光景が目に浮かぶのだと思われるところがいくつもあり、思い出を共有していることが嬉しくなる。舞台ではクビを言い渡された社員トニーの息子のことを、頭が悪そうで可愛くて大好きだったのだが、本書では賢そうな表情で描かれているので理由が気になる。

傲慢な社長スクルージが死んだシーンでは、部下の社員たちが喜びすぎるほど喜んでいたのには笑った。読めば読むほど味わい深い。繰り返し読みたくなる1冊である。