著者は大学で経営学を学んだあと、外資系企業に勤めながら中小企業診断士の資格を取得。1985年からアドラー心理学の普及に携わってきた人物。
現在は、経営のかたわらカウンセラー/コンサルタントとして、企業の経営者・管理者の指導に当たっている。
この本は、さまざまな場面で起きるネガティブな人間関係の改善に役立つ手法がケーススタディ別に書かれている。
特に印象に残ったテクニックは下記のとおり
・「高すぎる目標を掲げない」・・・非現実的な目標を掲げられると、達成できないことがあたりまえとなり、達成する喜びが湧かなくなることでチームのやる気が低下する。 解決方法:「目標は、達成する喜びを味わえるレベルに設定」
・「教えすぎない」・・・教えれば教えるほど、受け取った側の負担は増える。
コーチ陣がオーバーコーチすることで有能な選手の能力が発揮されないケースはよくある。 アメリカのメジャーリーグコーチ陣は選手から質問があって、はじめて意見を述べる。
解決方法:教え過ぎないことでパフォーマンスがあがる。
・「残業なしにするだけでは、問題は解決しない」・・・「No残業day」を叫んでも、業務が効率化されるワケではない。 残業時間を減らすには「具体的にどの業務を減らすのか」、「どうやって減らすのか」明確にしなければ仕事量はそのまま。
非現的なスローガンは、組織に混乱を招き足並みを乱すこととなる。
解決方法:大きな変革をするときは、全体の流れをシンプルにして、適切な改善を施す。
人間関係に必ず役立つ書籍であり、部下を持つ前に目を通しておきたい書籍でもある。
私も10年前に読んでおけば人生が変わっていたと痛感した。
アドラー流気にしないヒント:自分にやさしくなれる法
作 者:岩井 俊憲
発売日:2023年4月27日
メディア:三笠書房王様文庫