HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】4年間潜入して書き上げた渾身の1冊『ルポ歌舞伎町』

著者は旧帝国大学を7年かけて卒業したツワモノ。
卒業するのに余分にかかった原因は、本人の学力不足ではなく、自転車で海外を放浪していたから。
卒業後は就職することなく、大阪の無法地帯「西成」に3か月潜入して自分の体験したことを文章にまとめ商業出版をなし遂げた。
そんな著者が今回、潜入場所に選んだのは「新宿歌舞伎町」。
調査に費やした期間は4年。その内、1年間は複数のヤクザの事務所が置かれ、住人の半数以上がヤクザ、ホスト、風俗嬢といわれている「ヤクザマンション」。
著者自らリスクを背負い、歌舞伎町の暗部にどっぷりと浸かってきた。
この書籍は、歌舞伎町全体の時代の移り変わりは勿論、「ホスト」、「黒人ボッタくりバー」、「風俗嬢」、「ストーカーの裏側」を章別に深堀している。
特に心に残った部分は、キャバ嬢、風俗嬢に付きまとうストーカーを撃退することでシノギを得る男「チャーリー」。映画さながらの腕っぷしの強さと行動力、ハラハラドキドキの展開に目が離せない。

新宿は戦後、闇市、赤線地帯、台湾マフィア、イランマフィア、中国人密入国者等、何度も登場人物が変わってきた。戦後50年の移り変わりを記録してきたカメラマンは建物が変わることで集まる人が変る分析している。
ロジックに関しては本紙にゆだねるが、間もなく開業する「東急歌舞伎町タワー」。どのような変化がみられるのか楽しみである。

小説さながらのドキドキ感を味わいながら新宿の暗部を知ることができる良書。
作  者:國友 公司
発売日:2023年2月28日
メディア: 彩図社