生物と無生物のあいだと聞いて、皆さんは説明することはできるだろうか?著者である生物学者の福岡伸一氏が自身の経験を踏まえながら「生命とは何か?」を考えていく本となっております。
物語はニューヨークにあるロックフェラー大学で、日本人には有名な野口英世がどのような研究をし、どのような評価を現地で受けていたのか?の説明から物語は始まります。その後ウィルスやDNAの発見までの物語、生物とも無生物とも言いにくいウィルスの特徴、残念ながらコロナウィルスで有名になってしまったPCR検査の発見やしくみなど専門知識がなくても読みやすく解説されております。ちなみにPCR検査はサーフィンが趣味のポスドクのマリス氏が、彼女とのドライブデート中にこの理論を閃いたという面白い逸話も書かれています。
そして最後に福岡氏は生命というものを定義します。それは「機械とは違い時間があり、その中には不可逆的な時間の流れがある。その流れに沿って折りたたまれ、一度折りたたんだら2度と解くことはできないものとして生物は存在する」、つまり「動的平衡にある流れ」と定義します。そこに至るまでの物語はもちろんですが、PCRの仕組みや生物学などにも興味ある方はぜひ読んでみてください。