HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】会話がしんどい、から卒業したいあなたへ。『元コミュ障アナウンサーが考案した会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』

 

f:id:SyohyouBlog:20200920215120j:plain

著者は、ニッポン放送のアナウンサーであるが、入社した頃はいわゆるコミュ障で、コミュニケーションを上手く取れないばかりか、ゲストからも「絡みにくいアナウンサー」と疎まわれてしまったこともあるくらいだったそうだ。
よくもまぁ、それでアナウンサーになろうと考えたものだと思うが、克服の努力の結果、ちゃんと仕事を20年も続けていると言う。

私はといえば、自分のことを特にコミュ障であるとは思っていないが、昔はどちらかといえば口ベタな方だった。それは、相手にどう思われるだろうかと考え過ぎるあまり口を閉ざしてしまう、という様なことだったと思う。
また、今でも、「あ、ここで二人切りになったら何しゃべろうか」と身構えることは普通にある。
だから、本書は、当然にして同じ様にコミュニケーションが得意ではない方々の為に書かれてはいるが、自分の様な「そこまでではない」、という方にも参考となる箇所は幾つも有ると思う。
特に、私が反省を促されたのは、「でも」っていわない、と決めるだけでかなり会話は上手くなります、ということであった。

本書の中では、身につけておくと会話がスムーズになるという24個の『武器』提示され、具体的な実用例も述べられている。
それらの中には、なるほどねぇと私からしても頷けるものも多い。
『最強の相づち、「えっ!?」「あっ!」を駆使する』
『相手の言葉を「オウム返し」すれば会話は続く』
『とにかく疑問形で話をしよう』
『魔法の言葉『HOW」を活用しよう』

それから、書中で面白いなと思ったのは、コミュ障の方々の悩みの中でも「美容院でのコミュニケーションが苦痛」ということに多く方が共感している、ということだった。
そういう方たちへ著者が望むことは、「話しかける勇気」と「へこたれない強さ」だ。
何事もトライアンドエラーが重要なのだ。

 

 

【書評】給料が10%上がるのに比較して、仲の良いパートナーと結婚すると767%幸福になる。『科学的な適職』

f:id:SyohyouBlog:20200919215157j:plain

適職とはなんでしょうか?。給料が10倍になること?。給料が10倍になると10倍幸せ?。適職とは幸福度が最も高い仕事のことです。

タイトルにも書きましたが、給料が10%上がっても大して幸せにはなれず、結婚すると767%それよりも幸福に、健康になると6000%以上幸福になるそうです。適職とはなんでしょう。

本書ではやってはいけない仕事の選び方が紹介されています。
* 好きを仕事にする 
* 給料の多さで選ぶ
* 業界や職種で選ぶ
* 仕事の楽さで選ぶ
* 性格テストで選ぶ
* 直感で選ぶ
* 適性に合った仕事を求める
これらの選び方はよくある選び方ですが、この方法では幸福度があがりません。

一方で幸福のための適職選びのポイントは自由、達成、焦点、明確、多様、仲間、貢献です。
本書の凄い点はこれらが科学的なデータを基に語られていることです。

そして、本書では最後にワークがあり、いくつもの質問に答えていくことで、現在の仕事は幸福なのかどうかをチェックすることができます。転職すべきか、このまま働くべきか悩んでいる方は本書を読んで科学的に判断してみてはどうでしょうか。

 

科学的な適職

科学的な適職

 

 

【書評】人が会社を辞めるメカニズムについて全部書いている本『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』

f:id:SyohyouBlog:20200918215915j:plain

 

会社を辞める。どんな人が辞めていくでしょうか?。労働時間が長くて身体を壊したから?、親の介護?、ヘッドハンティング?。

 

会社で働く人がどう言った時にやめるか。3つに分けて考える必要がある。ピラミッド型で下からから①心身コンディション、②働きやすさ、③働きがいだ。

 

まずは最も大事なのは①心身コンディションだ。心身が元気でないと人は病気になり辞める。転職していく。これが満たされると次は②働きやすさだ。残業が少ない、休日出勤がない、福利厚生が良いなど、そして③は働きがいだ。社会の役に立っていることや、自らの成長になる。自由があるなどだ。

 

それぞれが満たされていると離職は少なくなるが、ポイントはどれか一つだけ足りなくてもダメで、満たしていてもダメなところ。

 

働きやすい、だらだら仕事ができるような会社では逆に働きがいがなく、辞めていったりもするだろう。

 

そして、勉強になった点もう一つはでは、どんな人材の流出を防ぐべきかだ。それは入社間もない人と、ポテンシャル人材だ。入社ままない人は働きにくく、心身を壊しやすい。

 

管理職クラスのエース人材は実は流出しても良い、上にポジションが空くと働きがいも出てくるというわけだ。

 

さてさて、そのような感じで本書では離職についての全てが書いてある。会社で働く人全てにおすすめだ。

 

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

  • 作者:上村 紀夫
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】何かを書けることは、何かを変えること。100の言葉よりまず絵にしてみよう!『なんでも図解 絵心ゼロでもできる!爆速アウトプット術』

f:id:SyohyouBlog:20200917215853j:plain

子供の頃は紙とペンさえあればずっと絵を描いていたのに、大人になると驚くほど絵を描く機会ってなくなる。これは非常にもったいない。絵や図には、頭の中のイメージを伝える力がある。リアルタイムで、イメージを具体的に共有するのにもってこいのツールなのだ。

「なんでも図解」には多くのメリットがある。
複雑な内容も図であれば全体像を効率良く把握できたり、会議中のふとした意見も書き留めることで発言しやすい空気が生まれたり、説明力やプレゼンの精度もあがる。枠組みにとらわれないので、思わぬ発想の飛躍が生まれることもある。

丸や四角で囲んだり、矢印を描いたり。
「図解なんて学ばなくったって、適当に書けるでしょ。」と思いながら、本書を読みつつ途中で出てくるお題を解いてみると、これが案外難しい。

 ステップ1 文章全体の意味を読みとる
 ステップ2 キーワードを書き出す
 ステップ3 囲み、矢印、人で表す

と一見簡単そうなのだが、まずステップ1 では文章には状態・構造、因果関係・変化、拡散・収束・収集の「3つの型」があることを理解していなければならない。そしてステップ2ではどのワードを抜き出すべきか迷ってしまう。「なんでも図解」は想像以上に奥が深い。

そういえば、東大生のノートには共通点があると聞いたことがある。それはノートを書くとき、黒板を丸写しせず、自分なりに噛み砕いて整理しながら書くということ。矢印や数字を活用することで、構造化、図式化する。まさに本書のような方法だと思った。

あとから人に説明できるように要約しながらノートを取ることで、ノートをとる目的がインプットではなくアウトプットになる。瞬時にアウトプットすることで情報が自分事化され、記憶に定着する。また、自分はどこが分からないのかが明確になる。これだけのメリットがあるのだから、学んでおいて損はないだろう。

「なんでも図解」に正解・不正解はない。「わかりやすいか・伝わるか」という点で自分の書いたものと比較しながらマイペースにブラッシュアップしていける。

やればやるほど楽しくなる図解の世界。爆速アウトプット術を手に入れたい人に是非おすすめしたい。

 

 

【書評】人間の脳は職業選択に向いていない!?『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』

f:id:SyohyouBlog:20200916221212j:plain

「適職」とはなんだろうか?
自分の才能が発揮できる仕事?好きなことができる仕事?楽して稼げる仕事?人に喜びを与えたい?人それぞれあるだろう。だが全ての人に共通して言えるのは、「幸せに暮らしたい」ということではないだろうか。

いかに憧れの会社に入ろうが、才能を生かせる仕事を選ぼうが、その結果不幸になってしまったらどうにもならない。ならば「適職」の定義とは、「あなたの幸福が最大化される仕事」と言える。

世の中にはさまざまなキャリアアドバイスが存在するが、それらの大半が個人の経験や嗜好にしかもとづいていない。あなたの価値観やライフスタイルを組み込んだ、自分だけの「適職の選び方」を編み出すための、具体的な方法を本書は伝えている。

当然、職探しには誰だって慎重になる。徹底的に調べ上げた!という人も少なくないだろう。だがそれでも、その選択過程には間違いなく、「認知の歪み」がある。人の視野は想像以上に狭く、またそのことに自分では気付けない。私たちの意思決定力は生まれつき深刻なバグを抱えていることを、まずは理解すべきであり、精密なデータ分析よりも優先すべきは脳のバグを取り除くことである。

代表的なのが「確証バイアス」である。これは、自分がいったん信じたことを裏づけてくれそうな情報ばかりを集めてしまう心理である。そうして結局は同じような考え方をする仲間とだけ付き合うようになる。だからよけいに確証が強まっていき、考え方がこり固まる。これは本当に注意すべきである。カルト宗教や、ブラック企業が良い例だろう。複数のコミュニティに参加するというのも、回避する一つの手かもしれない。

他にも、選択肢の提示のされかたによって、全く異なる決定をしてしまう「アンカリング効果」、くり返し目にしただけの理由で、その情報を真実に違いないと感じる「真実の錯覚」、自身が重要視するポイントが、実際よりも影響力が大きいように感じられてしまう「フォーカシング効果」、自分の考えが間違っているという確かな証拠があっても、ポジティブな感情を引き出してくれる情報に飛びついてしまう「感情バイアス」などがある。

そしてもっとも重要なのが、「愚かなるは他人ばかり」問題である。結局、人のことは厳しく見ることができても、自分自身の問題だとは捉えられないのが人間である。

科学的な適職探しとはつまり、いかに自分を客観視して視野を広げられるか。第三者目線になって冷静に考えられるか。ということなのかもしれない。そしてこれは適職探しや結婚相手の選択などのビッグイベントでは勿論のこと、日常の些細なことから気をつけていくべきだろう。

本書評はついつい、評者が興味を惹かれた「認知の歪み」の紹介ばかりになってしまったが、少しでも気になったら是非本書を読み通してみて欲しい。

ステップ1 幻想から覚める
ステップ2 未来を広げる
ステップ3 悪を取り除く
ステップ4 歪みに気づく
ステップ5 やりがいを再構築する

本書は全編がひとつづきの長いステップで構成されている。手順通り進んでいけば、きっとあなたの将来の幸せにつながる何かが見つかるだろう。

 

科学的な適職

科学的な適職

 

 

【書評】管理職必読。健康的会社経営『辞める人・ぶら下がる人・潰れる人』

f:id:SyohyouBlog:20200915211451j:plain

 

「良い人材が健全に定着する組織を科学的に作る」
本書の内容をコンパクトにまとめた素晴らしい一文です。

「辞める人、ぶら下がる人、潰れる人」、本書のタイトルを聞いて読者の皆様もイメージがつくと思います。離職する人、ぬるま湯に浸かる人、精神的に異常をきたす人。読者の皆様の会社も様々な問題を抱えていると思います。

社員の幸福度を挙げること問題解決になるのか、それともマイナス要因を解決が先か。
組織内の問題の特定と優先順位はどう決めるのか。
あなたの施策は一体会社の誰に向けられているのか、また、その施策で傷つく人は誰なのか。
全員が満足する施策はあるのか。

こういった問題を医学や科学を用いて解決に向かうのが本書の特徴になります。
会社を組織しているのは「社員」です。それは一つ一つの細胞としてもイメージできます。しかし、一度体内に病巣が巣食いそれを放置してしまうと、その病巣は伝染し正常な細胞も最後には異常な細胞に変化してしまいます。また、病巣による悪意的波及もあれば、不活性による代謝不良による波及もあり、組織が傾く理由は無数に存在します。

本書は健康的経営を目指す会社が行うべき健全なメカニズム(代謝活動)がケーススタディを用いて具体的に書かれています。管理職の方には必読でしょう。

 

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

  • 作者:上村 紀夫
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】会社の味方になるITを知ろう『売上が上がるバックオフィス最適化マップ』

f:id:SyohyouBlog:20200914210947j:plain
「この作業面倒だな…」
「なんでこんな昔ながらのやり方しているのだろう…」
仕事をしていて、こんな風に思ったことはないだろうか。少しでも自社業務に疑問を持っている人こそ、本書を読んでITを活用していく上で必要となる考え方やヒントを得てもらいたい。
 ITと言うと抵抗感を示す人が少なからずいるかもしれないが安心してほしい。本書はITの知識がない人でも問題ない内容だ。本書の著者はIT活用を助けてくれるITの専門家である。会計の顧問として税理士が存在するように、IT導入や活用に寄り添ってくれる存在だ。だからこそシステムの紹介に留まらず、最大限の活用方法について紹介されている。
 ITシステムの導入にあたっては現場の社員が使いたいと思うまで合意形成を行うことが大事だと述べられている。確かに著者が属する企業でも今までのやり方の踏襲が優先され、せっかく導入されたITシステムが現場で活用されていないことがある。経営者や責任者が肝いりで導入しても、現場の職員が「使えない」と思ってしまえば宝の持ち腐れとなる。
 また、総務管理では必ずしもパッケージ化されたシステムを一括して行うこと正解ではなく、別々の顧客管理システムや給与計算ソフトの組み合わせが企業効率を最大化させることもある。企業によって最適なものはまちまちだが、社内環境を良くするには1人あたり5,000円あれば改善できるということだ。昨今の人件費を勘案すると、投資効果として非常に優れている。
 生産効率を上げたい企業の経営者が本書の内容を実現すれば、将来的には従業員の作業効率化、負担軽減による満足度向上へとできるだろう。また、業務効率化を図りたい従業員であれば本書の内容が自身の作業効率の一助となるに違いない。
あなたの会社に秘められているポテンシャル、ITを活用して最大限発揮しよう。

 

 

【書評】雑談が無意味と感じあなたが、無限に話せるようになる!?『話し方・聞き方の教科書』

f:id:SyohyouBlog:20200913212716j:plain



アナウンサーという仕事は本来、コミュ障とはもっとも縁遠い存在であるはずだ。
原稿を読むだけでなく、番組ではトークの瞬発力は必須であろうし、進行役として俯瞰して全体を見なければならない。日々多くの人とも接することであろう。そして何より局の顔である。
そんな花形がコミュ障?俄には信じがたいが、どのように克服したのか。そのノウハウを知りたく本書を手にとった。

この本はまず、なぜ雑談が必要なのか、というところから論じている。雑談が無意味では?と感じるあなたも、きっと雑談の価値を感じるに違いない。雑談を猿のある行為に例えて必要性を語っており、本書を読んだ後は雑談をしている人達を見ると、猿のあの行為に見えて、おかしさがこみ上げてくるようになった。是非、本書を手にとってその箇所を探してほしい。

この本の良いところは、3人のコミュニケーションの専門家が平易な言葉で知識を補完し、その一方で一般人の感覚を取り入れているところである。その中心には著者である吉田アナがおり、最初から最後まで会話を楽しんでいるような心地よさがあった。

後半では、雑談を続けるためのノウハウがシーン別で24個も登場しており、読み終わった後は、この武器を早く使いたくあらゆる人と会話をしてみたくなった。

コミュニケーションはスキルであり後天的に向上することを吉田アナ自身が証明しているというところ。自分はコミュ障だからと引っ込み思案気味でも、書籍を手に取るという一歩を踏み出し実践しようとする勇気を称えてくれているのは本当に心強い。
失敗しながらでも、この紹介された武器を使いこなせるようになる頃には、コミュ障のあなたも次のステージが開けるに違いない。

 

 

【書評】浅い関係の同僚とエレベーターまで無言・・『話し方・聞き方の教科書』

f:id:SyohyouBlog:20200912205325j:plain



君たちに武器を授ける。
武器?
そう。コミュニケーションに必要なのは『一歩踏み出す勇気!』では無く、5秒後に役立つ武器であり、その武器が読者に勇気を授けることになる。

この本はRPGの説明書ではない。
コミュニケーションが苦手な人のための実践書である。

例えば、嫌いな上司との会食、関係が浅い人との少しの移動、意味不明な絡みをしてくる同僚など、コミュニケーション障害が自分のせいなのか相手のせいなのか分からないシチュエーションがある。
大事なことは『対応』することであり、それは生命体の宿命、延命の一歩である。
そのような綺麗な言葉はどこかの専門家に任せればいいが、この危機的な状況を掻い潜らなければならない。

そこで本書の登場である。本書は『負けるな!一歩踏み出せ!』という精神論に終始しておらず、科学的根拠から人間の心や本能を理解し、そのうえで具体的な行動を教えてくれる。

つらい状況を脱出する方法を教えてくれることに加え、コミュニケーションが苦手な自分を責める必要性が無いことも教えてくれる。

まずは本書でマインドセットを行い、地獄のような気まずい状況から逃げれるようになろう。
そう思うと私たちはRPGの主人公かもしれない。

 

 

【書評】本を触媒にして思考プロセスを変容させる『探求型読書』

f:id:SyohyouBlog:20200911220717j:plain

読書をしているとき、人は受身になりがちである。「読書とは著者の言い分を理解して、知識を吸収するためのもの」という思い込みがあるから、普通はそのまま著者の視点に飲み込まれてしまう。

探求型読書はその反対である。読書とはどこまでも主体的なものであり、ここでは読書そのものに重きを置かない。あくまでも自分を深く掘り下げるためのツールとして読書を位置づけ、それはまさに自分を探求するための冒険となる。

評者も最近はこうして書評を書いているので、それなりに主体的に読書をしているつもりでいた。だが本書を読んで、まだまだ認識が甘かったことを思い知らされた。

探求型読書では、読書を読前、読中、読後に分ける。読書は読む前から始まっているのである。読前に表紙や目次をよく観察することで、まず本の仮説を描き、読中は本の著書とのQ&Aを繰り返す。そして読後は仮説を振り返り、それを自分ごとに置き換えて考える。

評者は書評を書くとき、本を読み、気になったところに付箋を貼っておき、読後に付箋を貼ったところを中心にもう一度読み返し、著者の考えを自分なりの言葉で表すようにしていた。だがこのようにして書評を書くと、どうしても書評がただ「本の要約」となってしまい、自分の言葉にすることが難しかった。そしてそれはきっと自分のインプットがまだまだ足りていないせいだと思っていた。

もちろんインプットが足りていないということはあるだろう。だが本書を読み、探求型読書でいう「読前」をまるっきりすっ飛ばしていたことに気づいた。

探求型読書では、読前の過程をとても重要視している。なぜなら本を読む前はまだ著者の考え方に影響を受けておらず、その時点での自分の考え方が明確である。読中はどうしても著者の考え方に流され、読後は著者にまるっきり影響を受けている。だから読前の過程を飛ばしてしまうと、読み終わったときに自分の言葉が出て来ない。

「読前」の段階で本の要約を仮説ベースで描くことで、著者の思考モデルと自分の思考モデルが影響しあい、その結果、新しい思考モデルが生まれる可能性が高まる。

探求型読書の主役は著者ではなく、あくまでも読者である自分である。そこでは読者の「仮説する想像力」が必要になる。著者の観点を借りて、自分の考えを仮置きして、「仮止め状態」のままに本を読み進める中で、自分でも想定していなかったような光景に度々出くわすことになる。その驚きと発見こそが探求型読書の醍醐味なのである。

 

探究型読書

探究型読書