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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】本を触媒にして思考プロセスを変容させる『探求型読書』

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読書をしているとき、人は受身になりがちである。「読書とは著者の言い分を理解して、知識を吸収するためのもの」という思い込みがあるから、普通はそのまま著者の視点に飲み込まれてしまう。

探求型読書はその反対である。読書とはどこまでも主体的なものであり、ここでは読書そのものに重きを置かない。あくまでも自分を深く掘り下げるためのツールとして読書を位置づけ、それはまさに自分を探求するための冒険となる。

評者も最近はこうして書評を書いているので、それなりに主体的に読書をしているつもりでいた。だが本書を読んで、まだまだ認識が甘かったことを思い知らされた。

探求型読書では、読書を読前、読中、読後に分ける。読書は読む前から始まっているのである。読前に表紙や目次をよく観察することで、まず本の仮説を描き、読中は本の著書とのQ&Aを繰り返す。そして読後は仮説を振り返り、それを自分ごとに置き換えて考える。

評者は書評を書くとき、本を読み、気になったところに付箋を貼っておき、読後に付箋を貼ったところを中心にもう一度読み返し、著者の考えを自分なりの言葉で表すようにしていた。だがこのようにして書評を書くと、どうしても書評がただ「本の要約」となってしまい、自分の言葉にすることが難しかった。そしてそれはきっと自分のインプットがまだまだ足りていないせいだと思っていた。

もちろんインプットが足りていないということはあるだろう。だが本書を読み、探求型読書でいう「読前」をまるっきりすっ飛ばしていたことに気づいた。

探求型読書では、読前の過程をとても重要視している。なぜなら本を読む前はまだ著者の考え方に影響を受けておらず、その時点での自分の考え方が明確である。読中はどうしても著者の考え方に流され、読後は著者にまるっきり影響を受けている。だから読前の過程を飛ばしてしまうと、読み終わったときに自分の言葉が出て来ない。

「読前」の段階で本の要約を仮説ベースで描くことで、著者の思考モデルと自分の思考モデルが影響しあい、その結果、新しい思考モデルが生まれる可能性が高まる。

探求型読書の主役は著者ではなく、あくまでも読者である自分である。そこでは読者の「仮説する想像力」が必要になる。著者の観点を借りて、自分の考えを仮置きして、「仮止め状態」のままに本を読み進める中で、自分でも想定していなかったような光景に度々出くわすことになる。その驚きと発見こそが探求型読書の醍醐味なのである。

 

探究型読書

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