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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】人間の脳は職業選択に向いていない!?『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』

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「適職」とはなんだろうか?
自分の才能が発揮できる仕事?好きなことができる仕事?楽して稼げる仕事?人に喜びを与えたい?人それぞれあるだろう。だが全ての人に共通して言えるのは、「幸せに暮らしたい」ということではないだろうか。

いかに憧れの会社に入ろうが、才能を生かせる仕事を選ぼうが、その結果不幸になってしまったらどうにもならない。ならば「適職」の定義とは、「あなたの幸福が最大化される仕事」と言える。

世の中にはさまざまなキャリアアドバイスが存在するが、それらの大半が個人の経験や嗜好にしかもとづいていない。あなたの価値観やライフスタイルを組み込んだ、自分だけの「適職の選び方」を編み出すための、具体的な方法を本書は伝えている。

当然、職探しには誰だって慎重になる。徹底的に調べ上げた!という人も少なくないだろう。だがそれでも、その選択過程には間違いなく、「認知の歪み」がある。人の視野は想像以上に狭く、またそのことに自分では気付けない。私たちの意思決定力は生まれつき深刻なバグを抱えていることを、まずは理解すべきであり、精密なデータ分析よりも優先すべきは脳のバグを取り除くことである。

代表的なのが「確証バイアス」である。これは、自分がいったん信じたことを裏づけてくれそうな情報ばかりを集めてしまう心理である。そうして結局は同じような考え方をする仲間とだけ付き合うようになる。だからよけいに確証が強まっていき、考え方がこり固まる。これは本当に注意すべきである。カルト宗教や、ブラック企業が良い例だろう。複数のコミュニティに参加するというのも、回避する一つの手かもしれない。

他にも、選択肢の提示のされかたによって、全く異なる決定をしてしまう「アンカリング効果」、くり返し目にしただけの理由で、その情報を真実に違いないと感じる「真実の錯覚」、自身が重要視するポイントが、実際よりも影響力が大きいように感じられてしまう「フォーカシング効果」、自分の考えが間違っているという確かな証拠があっても、ポジティブな感情を引き出してくれる情報に飛びついてしまう「感情バイアス」などがある。

そしてもっとも重要なのが、「愚かなるは他人ばかり」問題である。結局、人のことは厳しく見ることができても、自分自身の問題だとは捉えられないのが人間である。

科学的な適職探しとはつまり、いかに自分を客観視して視野を広げられるか。第三者目線になって冷静に考えられるか。ということなのかもしれない。そしてこれは適職探しや結婚相手の選択などのビッグイベントでは勿論のこと、日常の些細なことから気をつけていくべきだろう。

本書評はついつい、評者が興味を惹かれた「認知の歪み」の紹介ばかりになってしまったが、少しでも気になったら是非本書を読み通してみて欲しい。

ステップ1 幻想から覚める
ステップ2 未来を広げる
ステップ3 悪を取り除く
ステップ4 歪みに気づく
ステップ5 やりがいを再構築する

本書は全編がひとつづきの長いステップで構成されている。手順通り進んでいけば、きっとあなたの将来の幸せにつながる何かが見つかるだろう。

 

科学的な適職

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