HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】あなたの本質はなんですか?『ブランディング・ファースト』

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経営者、個人事業主SNSで影響力を持ちたい人へ。
これは経営者に向けて、企業のブランディングとデザインの重要性を説いた本です。
ブランディングを通じて経営者の「強い思い」や企業の「理想像」を明確にすることができ、顧客から選ばれ、従業員の行動もブランドに沿ったものになる。
時間はかかるが、一過性の経費ではなく企業の資産になるブランディングをまず最初にやるべきだという趣旨です。

ブランドを体現するデザインの価値についても言及されています。ブランディングの理論や方法論は理解しても、最終的に社会へブランドの本質が伝わるかどうかはデザインにかかっていると。経営学修士MBA)よりも美術学修士(MFA)のほうが給与も待遇も良くなっている、という話もあるそうです。

コラムに「優れたデザイナーの見分け方」が書いてありました。
デザイナー自身にデザインの意図を説明してもらうのです。なぜこの色なのか、なぜこのフォントなのか、なぜこの線はこの太さなのか。そして、「このデザインで一番伝えたいことは?」という本質を問いかけることで、明確な意図を持ってデザインしているかどうかわかります。真に優れたデザインには「偶然」はないのです。


ブランディング・ファースト。つまり「あなたの本質はなんですか?」を問い、徹底的に考え、伝わるデザインに落とし込む。
企業経営だけでなく、SNSで発信するすべての人にとって重要なことだと思いました。
私は何に関心があり、どんな生き方をしたいのか、誰の役に立ちたいのか、どんな人とつながりたいのか。
ブレない軸としてのブランドを確立し、アイコン、写真、テキストなどすべてのアウトプットがブランドを反映したデザインであるか。
セルフ・ブランディングにも役立つ本でした。

ちなみに、著者の宮村岳志さんの経営する(株)グロウ・リパブリックのサイトを訪れると、非常にアーティスティックな動画を見ることができます。ひとつひとつのアイテムにどんな意図があるんだろう?と考えながら見ると面白いです。

 

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

  • 作者:宮村 岳志
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】本能寺の変の黒幕は秀吉と千利休!?『へうげもの』

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主人公は戦国武将の古田織部。戦国と聞くと、合戦を想像するかもしれないが、本書は茶器を通じて武人たちを見る茶人の歴史マンガである。

茶器を通じて武人たちを見るとは、「明智光秀は信長様から貰った名物を使わなかった!これには謀反の意がある!」といった具合である。

千利休は、一切の無駄を削ぎ落とした美しさ「侘び」。一方、信長は絢爛豪華!相容れぬ価値観に、利休は秀吉に暗殺を唆すという設定である。

本編に目次は無い。「侘び」において目次は余分なのである。

ひょうげたシーンも多いが、文化的視座は高い。時折見せる、ど迫力な描写も豪快でかっこいい!

 

へうげもの(1) (モーニングコミックス)

へうげもの(1) (モーニングコミックス)

 

 

【書評】働き方、そして生き方をデザイン『SALON DESIGN No.07』

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堀江貴文イノベーション大学校(略称HIU)の定例会、HIUの有名人、学部・分科会・支部などをご紹介するHIU公式ガイドの最新刊です。

お名前だけは知っていたハヤカワ五味さんの対談記事が非常に興味深かったです。
多くの男性には謎の世界である生理用品の現状を知ることができ、その世界に大きな一石を投じたハヤカワ五味さんの実行力に脱帽しました。

後は今年の5月に入会した私には、HIU学部や分科会の紹介がとても参考になりました。
それぞれの活動内容だけでなく、各グループの特任教授の方々も紹介して下さり、確かにHIUは大学校なんだなぁと実感しました。

HIUに入会して日が浅い方、まだHIUに入会していなくてHIUってどういう所?という方におすすめします。

『SALON DESIGN』は四半期に一度発売されるガイドです。
最新刊のNo.07はwithコロナ時代になって初めての一冊です。
是非ぜひ手に取って読んでみて下さい。

https://horiemon.thebase.in/items/29641966

【書評】グローバル社会で生き残るために『ブランディング・ファースト』

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ブランドとは"柱"。ブランディングとは「柱の確立」と定義する。柱がない構造体は外部環境で簡単に崩れてしまうので、広告費をかける前にブランディング・ファースト!

 

「安くて、高品質」は当たり前となり、「高いけど、こだわり」 = 「品質の時代」に移行した。品質の時代にこそ中小企業の出番と著者は提言する。

 

その好例として「植物と共に生きる」というブランド理念を掲げ、テレビCMなどの広告宣伝を打たず、Instagramを中心に自然派のヘアケアブランドとして地位を確立した「BOTANIST」を紹介する。

 

扉絵から15ページは「選ばれるのか?」という問題提起に始まり、「いま、はじめよう。BRANDING FIRST」と問題解決へと走り出す写真集のような構成である。

 

「なぜ、こんなデザインなんだろう」「なぜ、この色なんだろう」と世界の新しい見方を与えてくれる。

 

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

  • 作者:宮村 岳志
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】名作ドラマの原典に辿り着く。『探偵物語』

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1979年から1980年にかけて放送されたテレビドラマ『探偵物語』。俳優 松田優作の代表作の一つとも言われるこの作品に原案者がいた。ハードボイルドミステリーの評論家であり、翻訳家でもある小鷹信光氏だ。
ドラマ『探偵物語』は、好評だった『大都会』シリーズを日本テレビから他局に移す為に、松田優作村川透監督を置き土産としたことから始まったとされている。複数の刑事達ではなく一匹狼を主人公とするに際し、企画段階で招聘された著者は、ハードボイルドとは、一人で生き抜く私立探偵とは、などについて膨大な文字数の企画原案を執筆した。ドラマの第12話「誘拐」に於ける「日本のハードボイルドの夜明けはいつ来るんでしょうかね、 小鷹信光さん」と言う松田優作のアドリブも有名だ。
さて、テレビドラマ放送開始と時期を同じくして徳間書店から刊行された本書は、著者の完全なオリジナルである。
特筆すべきはその文章の上手さだ。ハードボイルド小説としては最もポピュラーな、工藤探偵の第一人称の形式で綴られる物語。或る家出娘の捜索依頼を発端として、誘拐事件、暴力、カーチェイス、愛憎、殺人などの具材に疑惑を織り交ぜグイグイと読ませてくれる、非常に優れたエンターテインメント性の高い作品となっている。長年培ってきた文筆業としての技とミステリーに関する知識の面目躍如といったところだ。
因みに、本書に於ける工藤俊作はベスパに跨ることないし、黒丸のサングラスもソフトハットも身に着けてはいない。ましてや「工藤ちゃん」でもない。自分のルールに則り行動するハードボイルドの主人公。共通しているのは元サンフランシスコの警察官という裏設定くらいであり、ドラマとは全くの別物だ。ドラマのイメージで手にすると完全に裏切られてしまう様な、正統派のハードボイルドミステリーに仕上がっている。ではあるのだが、どうしても松田優作の顔が思い浮かんでしまうのは、仕方がないだろう。
徳間書店版は絶版となっていたため、20年近くの長い間幻の作品とされていた本書は、続編の出版を条件として1998年に幻冬社から加筆修正の上文庫化された。そのお陰で私もドラマ放送当時に一度立ち読みして以来の再読の機会を得たという訳だ。
なお、本書は小鷹氏の小説家としてのデビュー作である。如何に著者が「探偵物語」に力を注いでいたのかが分かるというものだ。

 

 

探偵物語 (幻冬舎文庫)

探偵物語 (幻冬舎文庫)

 

 

 

【書評】マジョリティは共感がないと動かない。『SALON DESIGN No.07』

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HIU情報を知ることができる本書。
今号は、みんなが知りたい、というよりも絶対に知っておくべき医療情報が満載です。

「10万個の子宮〜あの激しい痙攣は子宮頸がんワクチンの副反応なのか〜」の著者としても知られる村中璃子医師。

日本政府が子宮頸がんワクチン接種の通知を止めるよう通達を出してから7年が経ちます。未だにワクチンで救われたはずの多くの命が失われていることに悲しみを感じながらも、未来への希望も見えてきたと村中医師は語ります。

大切なことは、受動的にメディアの情報に流されることなく、自分から知ろうという意識を持つことではないでしょうか。

そしてゲノム解析ベンチャービジネスを展開する高橋祥子氏との話は、遺伝子検査から、ヒットする書籍の作り方にまで展開します。

予防医療を普及させるには、自分事化できるストーリーが必要。共感ってすごく大事なんだそうです。マジョリティは共感がないと動かないから。

確かに、ヒットするものってみんなそうですよね。この考え方は色んなところに応用できそうです。

評者はHIUに入会するかどうか迷っている時期がありました。最終的に入会した決め手は、HIU会員であるヒヅメさんという方が描かれた漫画を読んだことでした。

「入ったところで自分をさらけだせるだろうか」とくよくよ悩んでいたのですが、ヒヅメさんの漫画は評者のようなマジョリティ目線で描かれていて、そんな悩みを吹き飛ばしてくれました。とにかくバカになっちゃえば楽しいぞ!!と。

今になって考えてみると、これも共感したということなんでしょうね。

本書の存在は残念ながらHIUに入会するまで知らなかったのですが、これを読んでもきっと入会していただろうな、と思えるような内容です。

HIUに入会しようか迷い中の方、入会したけど行動できないって方には是非読んでもらいたいです。

https://horiemon.thebase.in/items/29641966

【書評】日本の中小企業、最大の伸びしろ『ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる』

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 “ブランド力”とは何か。それは小売店の商品棚からユーザーに選ばれる力です。

 日本の中小企業で、成長している企業とそうでない企業の差は“ブランディングとデザインに対する意識の差”と言われており、“日本は海外から10年遅れている”のが現状になります。この点を筆者は“伸びしろ”と考えており、“デザインとブランディング”を正しく学ぶことこそが企業の成長を促すため多くの人に学んで欲しいと本書を執筆しました。
 
 ブランディングは単にロゴを変えるということではありません。ブランディングとは企業の大切な宝物を、誰もが納得する柱として確立させるための施策になります。それは“商品棚からユーザーに選ばれる力”を育てることです。

 企業理念をユーザーに伝えるためにデザインし、それを確立させるためにブランディングをコツコツ行っていく。それは年単位で芽に水をやり、木になるまで育てることです。

 超高齢化社会グローバル化、大企業との競合、すべての問題解決のヒントになる一冊です。

 

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

  • 作者:宮村 岳志
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】人生の師と呼べる人はいますか?『リーチ先生』

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「好いものは好い」日本とイギリスの架け橋になるべく、若くして芸術を学びに来日したバーナード・リーチ。彼の生涯を捧げることになる陶芸との出会いや、日本の芸術家たちとの熱い友情劇などを描いたアート小説。

絵の才能があったものの、学費が払えず芸術の学校に行けれなかった亀乃介は、日本にやってきたばかりのリーチの弟子になる。彼の芸術に対する姿勢や人柄に魅了され、亀乃介は多くの事をリーチから学んでいく。彼に魅了される人は多く、後に日本を代表する芸術家となる若き日の柳宗悦濱田庄司もリーチのもとに度々集まり、芸術について日々口論し、固い友情を築き上げていく。

日本で陶芸と出会い技術を身に着けたリーチは、日本とイギリスの架け橋となるために、亀乃介を連れて帰国する。陶芸の文化など全くないイギリス。まずは土探し、といったゼロからのスタートを切り、徐々にリーチと亀乃介はイギリスに陶芸を浸透させていく。いつしか二人には、師弟関係を超えた固い絆が結ばれていた。関東大震災を機に亀乃介は日本に帰ることになるが、別れても心はひとつ。それぞれの道で陶芸に明け暮れるのであった。

本作品は、亀乃介以外は実在する人物である。実際の陶芸史に沿って話が展開し、芸術家達の芸術論や陶芸品の描写などが巧みに表現されており、芸術に疎い私でも、一度美術館に行ってみたいと思わせる内容であった。

亀乃介は後に、自分の子どもに「リーチ先生に出会えたから陶芸を知った。究めたいと思った。そのためにこそ、私の人生はあったんだ。」と語っている。私にも、一生の師と仰ぐような人ができるのだろうか。

 

リーチ先生 (集英社文庫)

リーチ先生 (集英社文庫)

 

 

【書評】時代は「規模の経済」から「品質の経済」へ。成功の鍵はブランディングだ!『ブランディング・ファースト』

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知名度が上がればブランドになる」と考えている方が世の中には多くいます。ですが、それは間違いです。ブランディングとは、”知らせる”という狭義のものではなく、企業の柱を”見つけ、育て、強くする”その一連の過程を指すものだからです。

時代は「規模の経済」から、「品質の経済」へと変化しました。そしてインターネットは、私たちが購入したいと思えるニッチなプロダクトを「知る機会」そのものを、爆発的に増やしました。品質でユーザーの心を掴めば、中小企業のプロダクトが選ばれる時代になっているのです。

ユーザーに選ばれるためには「柱を確立する」ブランディングが必要不可欠です。一本筋の通った柱を持つことが、どこにもないプロダクトを生むことにつながります。目指すべきは競合他社にないものを伸ばし追い越す差別化です。

そしてブランディングにおいて、重要となるのがデザインだと著者は言います。ここで言うデザインとは、単に見た目だけのことではありません。

アートが社会に対する問題提起である一方、デザインは社会の問題解決だと言われています。企業の価値・本質を正確にまとめ、社会にわかりやすく伝える。これはすべてデザインの担う領域です。

1999年、アップルがiMacの5色のカラーバリエーションを発表しました。当時、スティーブ・ジョブズは、これからパソコンを購入しようとする人に対する最も重要な質問のひとつが「あなたのお気に入りの色は何ですか?」だと述べています。これは自らの本質やビジョンをユーザーに提示し、問いかける行動です。

評者も現在、iphoneを使っています。なぜAndroidではなくiPhoneを選んだのかを考えてみると、機能面だけではなく、これを使って得られるワクワク感、体験を重視したからなのかもしれません。そしてこれはアップルというブランドを信頼しての行動です。

ブランドを築き上げていくことはつまり、社会との信頼関係を作っていくことなのだと思います。そのためにはしっかりと柱を明確にすること、そしてそれを自身が信じて、継続することが必要です。これは企業だけでなく、一人の人間としても言えることです。

ブランディングを無意味だと感じる方にこそ読んでいただきたい本です。 

 

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

  • 作者:宮村 岳志
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】もう、遠回りはしないの?『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

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本当においしいものは言葉を探す必要もなく、喉を通過したときにはもう感嘆の声が出て、そして胃におさまるころには、花がひらくみたいに言葉が湧き起こってくる。

ひょんなことからサンドイッチ屋さんで働くことになった僕。それからは水曜日を除いて毎日のように耳を切り落としている。

スパッといさぎよく切れていること。それでいて、無機質な印象にならないこと。それがおいしいサンドイッチの口あたりになる。食べる方は最初が肝心だから、そうなると、つくる方は最後が肝心になる。

のんびり屋の僕は、どこか時代の流れにうまくのれずにいる。それでも古い映画館が好きだったり、美味しいサンドイッチに出会えたり、好きな人がいたり、大切にしていることはちゃんとある。

周りからすると、勝手に遠回りして、迷子になってるように見えるのかもしれない。だけど、迷子になったぶん、余計にいろんなものが見れたりもする。

そこで出会う楽しいものは、いずれも「遠回り」の途中にしか存在しない。もしかすると、不安さえなければ迷子って案外楽しいのかもしれない。

変化することとか、挑戦することの大切さっていうのはよく分かるんだけど、評者は昔からほのぼのした日常みたいなものがとてもとても好きだ。

毎日同じことの繰り返しのようだけど、本当は少しずつ変化していて。よく見るとその中にはちょっとした挑戦もあったり。

ただ、そのささいな変化っていうのは見過ごしてしまいがちですよね。だからこそ、小さな気づきを大切にしていきたいです。子供の頃みたいに。