HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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このエロさ、たまらん。『やれたかも委員会』

『やれたかも委員会』著者 吉田貴司(電書バト、2017/6/27)

 

やれた…かもしれない…

 

「あのタイミングで手を握っていれば」
「勇気を出して家に誘っていれば」

 

悔やんでも悔やみ切れない夜がある。

 

人は完結したものより、未完のものに魅力を感じます。そして未完は記憶に残りやすい。これをツァイガルニック効果と言います。

 

告白して振られた相手は忘れるのに、告白できなかった相手はずっと覚えていますよね。

 

本書は、その誰にでも心に残っている甘酸っぱい記憶を、漫画で表現しています。

 

内容はシンプル。
「やれたかも委員会」に、やれたかもしれない自分の実体験を話し、その内容を「やれた」「やれたとは言えない」で判断してもらうのです。

 

ぼくの個人的な感想を言うと、
「えろいことしそうだけど、えろいことしないデート」と同等の感覚を味わえる最高の作品です。

 

知っていましたか?
「やれたかもしれない夜」は人生の宝なのですよ。

本を目にした人の心を読者へといざなうこと『新・装幀談義』

『新・装幀談義』著者:菊池 信義(白水社、2008/3/1)

装幀・装丁・装釘・装訂。全て「そうてい」と読み、文章に表紙やカバーをつけ、外形を整えることをいう。本書はこれまで1万冊以上の装幀を担当してきた装幀家の菊池氏による装幀についての本である。また、本書は1990年に発売された『装幀談義』の続編となっている。
『装幀談義』書評→https://goo.gl/DMD5fC

ところで冒頭にあげたが、装幀という言葉にはなぜこれほど多くの漢字があるのだろうか?。おそらく装幀家は本、そして言葉と毎日向き合う職業だからこそ、色々な漢字があてがわれて来たのだろう。そんな装幀家の菊池氏も同様に本に関する言葉をいくつも本書の中であげている。

“本は人の心をつくる道具”

“本というものはつぼみであり、読んだ人の数だけ花が咲く”

“本は手の中ではじまる劇”

どれも、菊池氏が30年間装幀家として、本と向き合った結果生まれた言葉なのであろう。本で人の心が作られ、何かがはじまる。良い本は人の心をつくり、人の幅を広げそして社会をも変える力があるという。

また、菊池氏は装幀家とは「本を初めて評する人」と、表現している。作者・編集者以外で初めて本を読むのが装幀家だからだ。そして、装幀の役割は「本を目にした人の心を読者へといざなうこと」だという。

装幀は単なるデザインではない、著者の過去の作品から著者のイメージと合う装幀を、類似の本と比較し著作の位置付けからデザインをイメージし作る。本書では菊池氏が何を考えどのように装幀を行ってきたかのネタバレとともにいくつもの装幀が写真とともに紹介されている。

また本書の装幀は非常にシンプル。そして手に取ると非常に触り心地が良い材質となっている。昨今電子書籍柄流行りつつあるが、このような「情報」としての本でない、「作品」としての本、「もの」としての本はこれからの時代こそチャンスがあるのではなかろうか。また、本書を1ページめくるとそこには「著者自装」と書かれてあった。

「本を目にした人の心を読者へといざなうこと」が装幀であるように、「書評を読んだ人の心を読者へといざなうこと」が書評であると思う。この書評をもとに新たな花が咲けば幸いである。

世の中の見方が変わる!?『東大卒ポーカー王者が教える 勝つための確率思考』

『東大卒ポーカー王者が教える 勝つための確率思考』著者 木原 直哉 (KADOKAWA、2013/10/25)

WSOPという大会をご存知だろうか?
WSOP(ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー)は毎年アメリカ・ラスベガスで開催されるポーカーの世界選手権で、トッププロが集まる大会だ。優勝賞金はなんと約7億円!(2012年当時の為替レート)
著者は2012年のWSOPにおいて、サイドイベントのひとつである「ポット・リミット・オマハ・シックス・ハンデッド」に参加し、日本人としては初めて世界選手権での優勝を果たした、プロのポーカープレイヤーである。

では、皆さんはポーカーと聞くとどんなイメージをお持ちだろうか?
私はカジノのイメージが強いため、ポーカーは運任せのギャンブルだと今まで思っていた。
しかし、本書を読んでポーカーは期待値にそって賭けられる頭脳戦であり、そこには、確率をベースにした論理的思考(確率思考)が求められることが分かった。
では、確率思考とはどんな考え方か?
主に2つの考え方が必要だと著者は言っている。
1つめは「ある事象の出現率を明確に区別できるようになること」
例えば、ポーカーでは試行回数を繰り返していけば、運(ついている、ついていない)はある程度万遍なくやってきて、結局はだいたい収束して実力どおりになる。
つまり出現率が分かれば、勝負すべきかやめるべきかが分かるのである。
人生では試行回数が少ないため運、不運に大いに振り回されるが、リスクを考えることで正しい判断ができるようになるのである。

2つめは「独立事象を理解できること」
独立事象とは、ある事象と別の事象の間に確率的な影響はないということ。例えば、じゃんけんを3回勝負した場合、1回目と2回目と3回目のじゃんけんは独立しており、つながりはなく、仮に3連勝したとしても偶然に過ぎないということである。
この考え方はすごく心を楽にしてくれると思った。物事は1回失敗すると、次に同じ状況になった時にまた失敗するのではないかと考えてしまうが、全く繋がりがないと考えれるようになると気にせず行動できるようになる。
事あるごとに、こんな風に考えるのはメンドくさいと思うかもしれないが、ゲームのように読み切ることができない人生だからこそ、リスクとリターンをどう考えるかで、世の中の見方が変化してくるかもしれないと思った。
ぜひ、一読することをお勧めします。

始める?やめとく?『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』

 

話題のビットコインへの理解を深めたくて、本書を手に取った。
これから簡単にビットコインのしくみを紐解いていく。

まずはじめに気になるのが、セキリュティ面である。
仮想通貨なので紙幣や貨幣は存在せず、インターネット上で管理される通貨なのだ。

「ハッキングされたり、複製される危険性があるのではないか?」
と不安に思うだろう。

しかしその心配はいらない。
なぜなら中央のサーバーで一元管理ではなく、個人で分散管理されているからだ。

さらにブロックチェーンは、どこで誰が持っているか見える化されている。なので不正は不可能なのである。

「ポイントサービスに似てる?」
と思うかもしれないが、実はそうではない。
ポイントサービスは、1ポイント1円として支払えるが、他人への譲渡や売買は会員規約で禁じられている。

しかしビットコインは違う。オンラインゲームやスマホアプリのように「ゲーム内通貨」と似た特徴を持っているのだ。

そしてビットコインは、支払いもスマホをかざすだけで決済が終了し、キャッシュレスなのだ。

日本国内では飲食店、美容室、ネイルサロンなど4000店舗以上の店が導入しており、今後ますます増えていくだろう。

ビットコインは、「お金」として価値があるので、ゲーム内通貨の発展系ではないかと私は考えている。

あなたもビットコインについて、
勉強してみてはいかが?

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

 

 

言葉の力って素晴らしい 『本日は、お日柄もよく』

作中のスピーチはどれも涙腺崩壊の危険性あり。言葉の力を信じてみたくなる一冊。スピーチをする予定がある方にオススメ。

平凡なOLの二ノ宮こと葉は、幼じみの結婚式で「言葉のプロフェッショナル」と呼ばれる久遠久美のスピーチを聞く。そのスピーチに感動したこと葉は、親友の結婚式のスピーチ作成を久美に依頼する。これを契機に、こと葉はスピーチライターとして歩み始める。

この話に出てくる人物は、みんないい人ばかりだ。読んでいて不快になることなく、気持ち良く読み終える。スピーチを指南した本はたくさんある。しかし、小説として楽しみながらスピーチも学べる本はないはずだ。

良いスピーチと悪いスピーチが上手く話に組み込まれている。両方を見比べるだけでも勉強になる。スピーチ、スピーチと連呼した稚拙な文章になってしまったが、ぜひこの小説のスピーチだけでも一読して頂きたい。

きっと言葉の力の素晴らしさに目がウルウルとなってしまうだろう。

 

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

 

 

副作用のない万能薬?『体の不調は「唾液」を増やして解決する』

 

『体の不調は「唾液」を増やして解決する』著者:森昭(PHP研究所、2015/4/14)

 

ある調査によると高齢者が歳を取って1番後悔するのが、「歯の定期検診を受けなかったこと」だそうです。つまり歯の手入れを怠ると、30年後にあなたも後悔するハメになるわけです。運動や食事制限以上に、「歯のメンテンナンス」が大切なのです。

「歯の話なのに、なんで唾液が大切なの?」
と思うかもしれませんが、それは本書を読めばわかります。唾液は歯を、口を、身体を守ってくれているのです。 

本書には唾液が身体にどんな影響を与え、どんな役割を担っているのか、詳しく書かれています。そしてその唾液の効力を最大に高める習慣やエクササイズも紹介されているので、ぜひチェックしてください。

 

読み終わるとわかりますよ。
「副作用のない万能薬」の意味が。

圧倒的なエネルギーを注げ!『人生の勝算』

 

『人生の勝算』著者:前田裕二(幻冬舎、2017/6/30)

 

世の中にはたくさんのアイドルが日々活躍している。その中でもAKBグループが根強く人気だ。これはAKBを地図で例えると、何も描いていない白地図だからである。余白だらけのまっさらな白地図に、山や川や海や街の地名などを書き加えていくように、未完成のアイドルを自分の応援やアドバイスで成長させていくことができるからだ。「モノの消費からコトの消費」とよく言われるように、人は参加や体験自体に価値を置くようになってきた。共に共感することがユーザーを引きつける原動力になっているのである。

 

 できて当たり前のことを圧倒的なエネルギーを注いで誰よりもやり切る。それがビジネスで成功するカギであり、他の人より差がつき、付加価値が生まれるのではないのか。例えば、電話1本でも「今、お客さんが求めていることは何か?」を、しっかり分析し、ニーズを考えるくせを持っていれば営業で勝つチャンスは生まれてくる。


秋元康さんの言葉で「夢は全力で手を伸ばした1ミリ先にある」というものがある。全力で行けば1ミリ先に夢から近づいてくることがある。チャンスを掴める者は常に全力で手を伸ばし続けれる人だけが手にすることができる。

 

新しいスマホアプリのように世の中に新しいニーズやサービスを提供する為には足と時間を使った地味な営業活動が必要になってくる。一見、非効率に思えるが何も強みを持たない時点では最も必須な仕事であり、それが信用となる。さらにいえば、自分と事業、それぞれの価値観の間に深い共鳴があると不思議なことが起こる。それは同じ夢をもつ仲間がどこからともなく集まって来るのであると解いている。

 

著者は小さな頃から両親を亡くし、兄弟だけで生きてきてその間にたくさんの逆境を乗り越えてきた。SHOWROOM(株)もここまで大きく成功させるために苦労や努力を絶え間なく続けた結果である。まだまだアイディアを駆使し続け、伸びていくであろう。

みんな本を出そう!『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか?』

 

『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか?』著者:堀江 貴文(堀江 貴文、2017/7/6)

 

あらゆる縦の壁が溶けていく現代で、本を作る側と読む側に存在していた壁も例外ではない。本を出すということの壁は限りなく低くなっている。本書は出版にまつわる誤解と誰でも出版できる可能性、さらにはコンテンツのアウトプットだけではなく相手に届けるその届け方にまで言及している。

 

一般的に本というと書店に並んでいる紙の書籍のイメージがあるが、情報コンテンツという意味では電子書籍やメルマガも本のカテゴリーに含まれる。また、現代が個人から個人に情報を発信できる環境が整っており、出版社を必ずしも経由する必要もない。出版社を通してのメリットとデメリット、自費出版のメリットとデメリット、比較した上でどちらを選ぶか、その選択肢でさえ今は自由に選べるのだ。だからこそコンテンツの純度の高さ、そして受け手に届くまでのプロセス管理が求められる。

 

本書は「伝えたい」その欲求がある全ての人に読んで欲しい。自分にはできないという根拠のない不安を解消してくれるだろう。思い込みのハードルに止められていた良質な情報が一気に世の中に拡散することを期待する。

相手をストーリーに巻き込め!『人生の勝算』

 

『人生の勝算』著者:前田裕二(幻冬舎、2017/6/30)

本書にはSHOWROOMというエンターテイメントサービスを立ち上げた著者の血肉が詰まっている。
彼の熱量をここで説明してしまうのはいささか野暮な気がするので、彼の焼け焦げるような熱量はぜひ本書を手に取って感じて欲しい。

ここでは著者の考え方に触れよう。
幾分私自身の解釈が含まれていることは許してほしい。
著者はエンターテイメントにおける“質”の意味が変わってきているという。質の高さとは、受け手が「どれだけ自分のストーリーとして感じられるか」に影響されるという。
この話を聞くと、文脈として想起されるのが東 浩紀の著書『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』だ。この書籍ではコンテンツの消費の仕方が過去には世界観やストーリーなど大きな物語そのものではなく、部分的に切り取られ消費されるようになったと綴られていた。動物化するポストモダンからも、大きな物語の消費も部分的な要素もコンテンツの所有・主導権は発信者にあったはずだが、著者は発信者と受信者が繋がりを持った上で、それらを受信者にも共有することでコンテンツの質が高まるのだと言う。確かに情報が溢れ「情報の信頼度」という指標を機能させづらい現代で、「自分との関係度」が質の指標になるのは想像に硬くない。現にネットで検索するものはいつだって“自分が”気になることだ。

30年という短い時間を生きてきた中での体感としても、やはり質の意味するものが変わってきたと思う。本書でも取り上げているが、AKB48が好例だ。手の届かない高い完成度のコンテンツより、たとえ隙があって発展途上のだとしても、そこに自分自身との繋がりを見つけられるものであれば、受け手にとっては上級品質のコンテンツとして歓迎される。

本書はコンテンツの未来を指し示す新しいコンパスだ。何を目指して進めばいいのか悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。きっとこの書籍が「こっちだよ」と導いてくれるはずだ。

電子書籍で満足できる人は読まないでください『装幀談義』

 

『装幀談義』著者:菊地信義ちくま文庫、1990/4/24)

 

「装幀家」という職業をご存じだろうか。本のコンセプトに合わせて、カバーやオビのデザイン、紙の種類を考える、一言で言えば本の顔を作る職業のことだ。著者のように大きくカバーに名前が載ることはないけれど、著者の伝えたいことを「本」としての形に具現化するために欠かせない仕事だ。たいていは奥付(著者名や出版社名、出版年月が書かれた部分)ページに、装幀家の名前もひっそりと書かれているので、家にある本を見てみてほしい。

さて本書は、日本で最も有名な装幀家のひとりである、菊地信義氏が自身の仕事について語ったものである。中上健次島田雅彦吉本隆明などの自身が手掛けた本の実例も交えながら、本の素材、書体、イラスト、レイアウトについて、菊池氏がデザインする中で考えていることについて記されている。

菊池氏は最後に、「本は心を作る道具」と語る。その言葉が表すように、菊池氏の姿勢からは、一貫して本をある種神聖なものとしてとらえ、畏敬の気持ちすら抱いていることを感じた。原稿という情報を、それぞれ一番ふさわしい「もの」としての本に仕上げるため試行錯誤する姿はまさに職人のようで、感動を覚えた。

本書は30年近く前に書かれた本だ。2017年現在、本を取り巻く環境も業界も、大きく変わっている。古い情報はあるけれど、それでも本質的な部分は今読んでも共感できる。電子書籍が増えた今でも紙の本を愛読する読者ならば必ず面白いと思えるだろう。単なる情報としてではなく、厚みと質感がある物としての本を愛する人に、ぜひ読んでいただきたい。