HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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自分がやりたいことを仕事にしよう!『本当の仕事』

 

今の仕事を続けていて人生の最後に後悔しないだろうか。
「絶対に後悔しない」と答えられる人はどれだけいるだろうか。
著者は多くの日本人が4つの仕事観に縛られていることに対して問題提起をしている。

1.仕事とは、「生計を立てるための手段」である
2.仕事とは、「やりたくないことをやる」ことである
3.仕事とは、「既存の職業に自分を合わせる」ことである
4.仕事とは、「同時に1つしかもてない」ものである

これらの仕事観を捨て、自分が本当にやりたい仕事をするために、自分が持っている
純粋意欲を知り、その純粋意欲に従って行動することを著者は薦めている。

「自分の純粋意欲がわからない」・「自分のやりたいことだけやっていては生計がたてられない」
と感じる人も多いだろう。しかし、本書は著者の経験を踏まえて自分の純粋意欲に従った仕事をした上で
生計を立てる方法を提案している。

ホリエモンは「自分の好きなことだけを仕事にしよう!!」と主張するが、具体的にどうやって行動していいかわからない人。
多くの日本人が抱える4つの仕事観に縛られながら働いている人。そんな人たちに是非、本書を手にとってもらいたい。

 

 

 

一生刺さり続ける棘『僕たちがやりました』

 

「そこそこ」楽しけりゃ幸せだった。アホなことして。スポッチャ行って。カラオケ行って。凡下(ボケ)高校に通っている3人は「そこそこ」な生活を過ごしていた。しかし、ある日イタズラで仕掛けた爆弾がプロパンガスに引火、10人もの人を殺害してしまう。「そこそこ」の人生でよかったのに。青春逃亡生活がはじまる。

2013年流行語大賞にノミネートされた言葉に「悟り世代」という言葉がある。これは概ね1990年代生まれの若者に対する言葉だ。「欲がない」「旅行に行かない」「恋愛に興味がない」。コスパよく仲の良い人とつるみ「そこそこ」楽しければ良い。

このマンガの主人公たちも同様であった。事件が起こるまでは。「そこそこ」の人生をうしなってしまった、人を殺めてしまった主人公たちは共犯者かつ金持ちのパイセン(あだ名)のお金を使い逃亡を図る。「そこそこ」の人生を捨て、毎日豪遊し、高級風俗へ通うものや、女の家に転がり込み一日中SEXに明け暮れるもの、ホームレスになり身を隠すもの...。しかしやってしまったことを忘れることは出来ない。

「無かったことにはできない、もう戻れない」(5巻)。自分達は生きていていい人間なのだろうか。苦しんだ末出した結論は『僕たちがやりました』。

悟り世代のように「そこそこ」の人生を送るのが幸せなのか。「特別な」人生を送り世の中から注目される人生が幸せなのか。幸せとは何なのか。本作品からはそんなことを考えさせられるのかも知れない。

 

 

 

グライダー人間?飛行機人間? 『思考の整理学』

『思考の整理学』著者:外山 滋比古(ちくま文庫、1986/4/24)

 

今の教育システムはグライダー人間を育てる教育である。全てにおいて平均点が取れ、目上の人の言うことをよく聞く良い子ちゃんを育てる教育である。これらはイギリスの産業革命以降にできた工事労働者を育てる教育からきている。

これから必要なのはそんな人間よりも自力で飛び抜ける人間、いわば飛行機人間が必要となる。この本が最初に出版されたのは1986年だが、テクノロジーが発展し、物や情報が溢れ、より独自性が重要とされる今の時代に本書は必要とされると強く思う。

本書は未だに増刷され、多くの書店にも平積みされている。それだけ長く愛され続けた本だ、ぜひあなたも手に取ってほしい。

真性ビッチに恋したら 『あそびあい』

 

『楽しいことがあったらできるだけたくさんしたいでしょ?』
地味目な女子高生のオタニヨーコは、誰とでもセックスする。気持ちいいから。主人公の山下は、そんな奔放な彼女に恋心を抱いている。自分以外の人とはしないでほしいという気持ちがある一方、好きだから強く出られない山下。


オタニは、貧乏な家庭で育った。だから、勿体無い精神に溢れている。電車賃はケチるし、人からもらえたらなんでも喜ぶ。でも、自分では買わない。セックスをするのは、その延長にある。『 気持ちいいこと逃すの 勿体ないじゃん』そういうオタニは、なぜ色んな人とセックスをするのが悪いのか、本当にわからない。
そんな2人がすれ違ったり、近づいたりする。お互いの感覚や、根本的な考え方のズレ。それでもなんとか一緒にいたい山下と、楽しいからと、気楽に一緒にいるオタニ。恋のような、遊びのような、一筋縄ではいかない2人の恋模様。


好きな人を独占したい、付き合ってたら他の人とはセックスしちゃいけない。そんな、当たり前のように考えられていることを、本当に正しいのかどうか考えさせられる作品。

 

 

 

ロジカルペアリングができるようになる!『日本酒のペアリングがよくわかる本』

 

こんなに読者に寄り添ってくれた日本酒の本はこれまでなかった。本書は写真、図、具体例を詰め込みまくり、論理的にペアリングが出来るように落とし込んだ日本酒のペアリング入門書である。

 

本書の内容を紹介する前に日本酒の味4タイプを紹介しておく。まず、日本酒の味を味わいの重さと香りの高さの2指標で分類する。それをフルーティ、熟成、軽快、旨口の4タイプと表現している。これは難しく言うと酒、熟酒、爽酒、醇酒というが、本書の書き方の方が入門には味わいの重さ、香りの高さがイメージしやすく分かりやすい。例えばフルーティタイプなら香りは高く、味わいは軽い。例えば「獺祭」などだ。本書ではこのように、日本酒の具体的な名前を出しイメージしやすくなっている。

 

そして本書の流れは、4タイプの特徴→テイスティング方法→製法→温度帯→にごり酒とテクスチャーとなっている。

 

ペアリングについてだけ少し紹介しよう。酒と料理のペアリングには主に3つの効果がある。A調和、Bマスキング、C相乗効果。
4つのタイプと、3つの効果を理解したならばあとは、以下の手順で論理に基づきペアリングをしていくだけだ。詳細は本書にて。

①味の濃淡を合わせる
②香りの要素を合わせる
③製法を合わせる
④温度帯を合わせる
⑤テクスチャーを合わせる
⑥魚や肉の臭みを包み込む
テイスティングする

 

これまでも色々とお酒に関する本を読んできたが、日本酒では本書が圧倒的に分かりやすく、便利だ。細かな表現を無視し、4つの味の表現しか使わない。例をあげると製法の項目で、濾過をすると味は?→「しっかりする」。6号酵母を使うと香りは?→「控えめ」。本書はこのように本当に管轄に日本酒について学ぶことができる最高の入門書である。

 

日本酒のペアリングがよくわかる本

日本酒のペアリングがよくわかる本

 

 

【書評】人類を最も興奮させた数式『オイラーの贈物〜人類の至宝e^iπ=-1を学ぶ〜』

 

オイラーの公式」を理解した人間は皆興奮を覚える。それは物理学者のリチャード・ファインマンも同様であり「我々の至宝」かつ「すべての数学のなかでもっとも素晴らしい公式」とコメントした。本書を読めばあなたも「e^iπ=-1」に興奮せざるを得ない。

sinθ、cosθ、tanθ、log、i、π、e、微分積分。高校数学では色々な記号が出てきた。しかし、数学の教科書は教えやすく、理解しやすいことを優先し、数学的に不自然な順序となっている。そのため各数学手法の必要性が全く不明瞭となっている。本書は数学発展の歴史と発展の順で数学を説明し、人類がどう言う過程で数学を発見してきたのかを知ることができる。そして、その結果、人類の至宝「e^iπ=-1」を発見する。

一応、公式の説明をここでしておく。理解できた人やどうでも良い人はこの段落は飛ばそう。まずは「i」これは虚数であり「iの2乗は-1」となる。高校2年あたりでiを学ぶ。中学生には愛(i)は早く、高校で愛(i)を学び、大学で愛情(i乗)を学ぶとよく言ったりする。あとはただの?数値だ。「π=3.141…」、「e=2.718…」。このよくわからない3つの数値をある組み合わせで合わせると-1になると言うのがこの式の意味だ。

本書は全部で512pからなるが、これは参考が必要なく、ページをめくる作業を減らすことを重視しているためだ。また著者の吉田氏は他にも数多くの数学の本を出版している。1001pからなる『虚数の情緒―中学生からの全方位独学法』や871pからなる『素数夜曲―女王陛下のLISP』はいつかは読んでやりたいと思いながら中々読めむことができていない本の一冊である。

本書はある予備校では高校の数学過程終了後の総まとめとして利用もされている。実際に手を動かしながら読む本となっており、読みごたえはかなりある。レベルとしては高校+αの内容なので理系大学に進んでいれば問題なく楽しめると言ったレベルだろうか。そうでないと骨が折れるかも。しかし、理解することが出来れば人類の至宝を学ぶことができる。スマホで簡単に情報を得ることができる現在であるが、たまには手を動かし、頭を動かしじっくりと一冊の本を読みきってみるのはいかがだろうか。

以下目次。
1章 パスカルの三角形
2章 方程式と関数
3章 微分
4章 積分
5章 テイラー展開
6章 指数関数・対数関数
7章 三角関数
8章 オイラーの公式
9章 ベクトルと行列
10章 フーリエ級数

 

オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ

オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ

 

 

書評もアウトプット『いつも「結果」を出す人のアウトプット習慣』

 

『いつも「結果」を出す人のアウトプット習慣』 著者:藤由達藏(ハート出版 、2017/5/26)

巷ではたくさんの成功事例が多岐に渡って流れており、それを活用できる人とできない人の2通りのパターンがある。1つ目は「ビジネス・サーファー」自分のやりたい分野が明確なので、それに関連する情報を集めたり、自ら取捨選択して実践するパターン。2つ目は「ビジネス・漂流者」たくさんの学びの果てに次々に成功事例を探り、実践よりも探りを数多く注力してしまうパターンだ。有効な成功事例を1つでいいから知っただけでも大収穫なのでそれを使って自分のやりたいことをどしどし実践していけばいいはずである。

まずは「まとめる」ということに注力してみる事が第一歩目である。学校の授業の基本であるノートに書き留めるのと同じで自分の進捗と理解度が学習記録になる。

人生をより良くする為の方法も手段も無限にあるが、無数の学校があり、無数の資格があり、無数の知識があるように全ての事を等しく学ぶ時間はない。ではどうするか?「何を学ぶのかを絞り込まなければならない」そのヒントは自分の学びたい分野と行動を繋ぐ気持ちの中にある。

人を動かしたければ質問を使えばいい。質問というのは非常にパワフルなコミュニケーションツールであり、相手に聞きたいことや疑問点を問いかければ多くの方は答えようとする。答えなくてもついつい考えてしまうものであり、他人を動かす強力な力を持っているのである。質問はどんな立場な人でも、どんな立場の人にであってでも発することができ、例でいえば新入社員が社長に対してでもコミュニケーションできる容易なツールである。

なかなか全力投球し続けても成果が現れないことが多いにしてある。成功体験は堤防の決壊と同じで努力が蓄積されてある閾値を超えた瞬間に突如、成功と呼ばれる現象が出現するのである。

*以前より断捨離とかミニマリズムという考え方が流行っているがチャンスを逃さない為には普段から心のゆとり、良好な人間関係の構築、身の回りを綺麗に整理整頓しておくことが大切である。

実際書評を書くというのもアウトプットの一つであり、自分が本書で捉えた知識や情報を自分の頭で考え、整理して読んでもらえる方に分かりやすく表現するという点では同じでないかと思う。

やっぱ研究はおもろないとあかんで『もっとヘンな論文』

 

かぐや姫のおじいさんは何歳か」。これは研究者の中でも半世紀以上に渡り、いまだ結論が出ていない問題である。『竹取物語』の物語序盤、翁は姫に自分は70歳だといい結婚を急かし、物語最後では実際50歳であるが老人のように見えたという記述がある。この気まぐれな記述により多くの学者が半世紀以上研究に明け暮れている。

現在の有力な説はこうだ。「おじいさんは、話を盛りまくる性格」と言う説だ。竹から出てきた3寸(9 cm)の姫のことを「初めて会ったときは、数mmやったのに、こんな大っきなってもうたわ」と盛る記述がある。このことから、姫にはやく嫁に行って貰おうと「もう、すぐ死んでまうから、はよ結婚しいや」と年齢を盛ったという説だ。つまり真実物語序盤で50歳ということだ。

さて、世の中には面白い研究論文がたくさんある。本書はそんな論文マニアの著者が書いた論文集第二弾である。ところで、そんな著者は前作の『変な論文』以外にも『俺たちのBL論』『学校では教えてくれない!国語辞典の選び方』などなど非常に幅広く本を出している。著者もかなり「ヘンな本」を書いている。

さて、他にも色々と紹介したい論文はあるところだが、タイトルだけで、中身は買ってからのお楽しみということにしよう。是非是非買って読んでください。おそらく読みたくなるものを1つだけ紹介します。

「デート中の性行動の期待と正当性についての男女の認知差ーデートの誘いとデート内容が及ぼす影響ー」『思春期学』和田実(2007)

今日のデートはどこまで行ってええんやろかってことの研究。載ってる雑誌『思春期学』もめっちゃおもろそう。どうでもええけどこんな研究どんな気持ちで学会発表したんやろ?。

やっぱ研究はおもろないとあかんで。

 

 

もっとヘンな論文

もっとヘンな論文

 

 

失敗しても立ち上がればいい。 『転んでもただでは起きるな!』 定本•安藤百福 安藤百福発明記念館 編 2013/11/25

 

日清食品を立ち上げた安藤百福を描いた本。彼は、インスタントラーメンとカップラーメンを開発したことで有名である。

実はインスタントラーメンを世に出した年齢は48歳、カップラーメンは61歳だったことはあまり知られていない。

インスタントラーメンに取り組んだのは、事業に失敗して0からの出発だった。しかも食品の仕事は未経験である。

安藤は「失ったのは財産だけではないか。その分だけ経験が血や肉となって身についた」と前を向く。そして新たな挑戦を開始する。


庭に作った小屋で1人で開発をしていく。麺を作るところから始めた。繰り返し失敗することで少しづつコツをつかんでいった。

麺の味付け、長期保存の仕方など問題は絶えなかった。その度に試作を繰り返し、解決の糸口を見つけるのだった。

驚くことはカップラーメン誕生から34年後の95歳の時に宇宙ラーメンの開発に成功している。これは実際に宇宙で食べられた。

彼の生涯に触れると1つや2つの失敗で立ち止まるのはバカらしくなる。何度でも立ち上がって取り組めばいいんだと。

「私は事業に失敗して財産を失い、48歳から再出発した。60歳、70歳からでも、新たな挑戦はある。」

彼のようにいつまでも挑戦し続ける人生でありたい。例え失敗続きの人生になろうとも。

『本物の思考力』

『本物の思考力』著者:出口治明(小学館新書、2017/4/4)

-間違った常識を疑え-

最近の世の中は思い込みや固定概念に縛られていて、常識を疑うことができなくなり、物事の本質を見誤る。数字(データ)、ファクト(事実)、ロジック(論理、論法)に基づき思考する。

まず、高度経済成長期を通り抜けてきた企業モデル。「冷戦」、「人口増加」、「製造業が牽引する開国・富国モデル」この3つの条件であった。だが今となって見れば冷戦は終結、人口減少、工場モデルはサービス産業モデルにとって変わってしまっており、全てが消失してしまっている。それなのになぜ企業は昔ながらの常識を植えつけて高度経済成長期と変わらぬ働き方をするのであろうか?その原因は経営幹部が高齢化して現在の日本社会を牛耳っている幹部クラスの人々が、過去の成功を捨てきらず、従来の働き方を若い世代にも押し付けている点。特に問題になっているのが長時間労働ではないかと思う。長時間労働を押し付けられた若手社員は心も体も疲弊し、バイタリティ溢れる社員が潰れていく光景は見ていられない。

最近よく話題になるSNS疲れ。友達が多く余暇が充実している人を羨ましいと思うなら「自分も仲間に入れてよ!」と申し出ればいい。自分で企画するなり行動すればいい。南国でバカンスを過ごす友人に嫉妬するならさっさと休みの日に自分で出かけてみればいかがかと思う。知人が出世したことが羨ましいのなら、自分も出世を目指せばいい。でもやってみたからといって全てがうまく行くとは限らない。しかしそこで初めて自分の向き・不向きが分かることが多いのも事実である。自分のことは自分でもよく分かっていないのが当たり前であることをしっかり理解する。

世の中の物事全てはトレードオフで何かを選ぶことは、別の何かを諦めることである。終わってしまったことは後悔しても仕方がない。ならば後悔している時間があるならば他のことに時間を割いた方がいいに決まっている。そういうふうに発想を切り替えれば人生はどんどんと前に進んで行ける。

数字、ファクト、ロジックと聞くと「難しい」「理屈っぽい」と感じるかもしれない。実際はむしろ逆である。自分の頭で考えることができるようになると、周囲の複雑な情報から判断に迷ったり、あとで悔やんだりすることが圧倒的に少なくなるので精神的にも時間的にも余裕が出てくる。さらには、「自分は自由である」という感覚が出てくる。

人間というのは失敗する生き物である。失敗するたびに「挽回しなくては」と思うことがあるかもしれないが、そんなことは思う必要はない。なぜならやがて失敗することが怖くなり身動きが取れなくなってしまうからである。何かにトライして成功したら100点、失敗に終わればマイナス100点という採点ではなく、成功したら100点、失敗してもその経験値を絶対値と捉え100点、つまり合計200点という採点で喜怒哀楽の総量として人生を捉えるようにする。失敗も成功も経験したことには違いはないので、経験していない人よりは遥かに知識は増えているので物事を判断する時の材料になるでしょう。それが人生経験であり、賢くなることができるであろう。

著者の出口治明さんはライフネット生命の創設者だ。2006年に創業されたまだ若い会社である。生命保険業は長いサイクルのビジネスである。今後、世の中はどう変化して行くか分からない。時代に沿った臨機応変な対応が求められるこのご時世、必要になってくるのは判断力ではないかと思う。その判断の裏付けに数字、ファクト、ロジックを分析して答えを出してくことが大切であると感じた。