HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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添い寝フレンドから始まる複雑な恋愛『カカフカカ』

『カカフカカ』著作:石田拓実講談社、2014/8/12〜)

近年男女の関係が多様化してきている。例えば「セフレ」これは説明はいらないだろう。「キスフレ」キスだけの関係。「ソフレ」添い寝フレンドの略。一緒のベッドで寝るだけの関係。そして「カモフレ」カモフラージュフレンド、恋人ではないけど恋人同士のイベントを楽しむ関係。今回紹介する作品は「ソフレ」から始まる男女を描いた作品だ。

主人公の寺田亜希(24)がシェアハウスに引っ越してくるとこから物語が始まる。そこで出会ったのは中学の時のクラスメイトで、初めて付き合った相手で、初体験の相手の本行智也だ。

有名な小説家になっていた本行には悩みがあった。ここ2年の間勃起不全となり、それとは別に小説も全く書けなくっていた。しかし、出会ってすぐ偶然の事故により寺田に対してのみ反応することが分かった。

唯一の希望を見つけた本行は寺田に「一緒に寝てもらってもいい?ヘンなことはしないから」。あそこの元気を取り戻すために協力する寺田と本行の絶妙な男女のソフレ関係が始まる。

2人のココロとカラダの距離感、友達と恋人の距離感、男女の複雑な関係性が絡み合い、それが面白い。そして複雑だからこそ全く次の予定は予想できない。ドキドキするから好きなのか、好きだからドキドキするのか。また、他のシェアハウスのメンバーも加わり関係が揺れ動く、揺れ動く。

https://goo.gl/sZ9rgk

世界中があなたを受け入れてくれる『Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法』

Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法』著者:リー・ギャラガー 、翻訳:関 美和(日経BP社、2017/5/25)

これはAirbnbの創設者たちの物語だ、フィクションかと疑いたくなるくらい、彼らは多くの壁を乗り越えてきた。発端はサンフランシスコの住んでいるアパートメントの賃料の値上げから始まる。不足分の賃料を賄うために、彼らは部屋にエアマットを敷き、加えて朝食も用意する、そんな商売を始めた。
今では世界の3万都市以上に宿泊先を展開するAirbnbだが、始めはこれほど小さなビジネスから始まったということは驚きだ。

始めはビジネスとして成立するなんて誰も思わなかった、「宿泊=ホテル」だ。プロのホテルマンによるおもてなし、充実したアメニティグッズ、しっかりとしたセキュリティ、宿泊とはつまりはそういうことだ。他人の家に泊まるなんて考えられない。このビジネスはたくさんの嘲笑を受けた。

今挙げたように、セキュリティも大きな課題だ。ビジネスとして軌道に乗ってきた時に、悲しい事件も数度起きている。1%を遥かに下回るが、それでも新規ビジネスは目立ちやすい。また、その対応と姿勢をうまく選択できなかったが故により火を大きくしてしまったこともある。

規模が拡大すればいよいよ既得権を持つ者たちが黙っていない、Airbnbは宿泊市場の破壊者というレッテルを貼られることになる。

本書ではこれらの高く分厚い壁を、創業者である彼らがどのように乗り越えてきたのか、一つの物語として記されている。「世界中を自分の居場所にすること」、アツくシビれる彼らとAirbnbというサービスの成長をぜひ手にとって読んでみてほしい。チャレンジすることとはこれほど尊いものかと、あなたの心が揺さぶられるだろう。

イノベーションが生まれる「たまり場」とは?『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』

『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』著者:西野亮廣(主婦と生活社、2016/8/12)

 

ルネサンスにしても、幕末にしても時代が大きく動くときは、その背景に、いつも「たまり場」があって、その時代の芸人や画家、金持ちなどなど、いろんな職種の連中が一つの場所に集まって夜な夜な情報交換していたという。近年でいうとタモリさんや所ジョージさん、ビートたけしさんの周りもそんな感じではなかろうか。

自分に置き換えてもいつも「たまり場」で様々な年齢や職業が違うものどうしでコミュニケーションを取っている。そこでは新しいアイデアイノベーションが生まれたりもする。

また、著者のように1度世間を炎上させると灰になるまで焼かれ続けるのが現代の流れだ。ベッキーさんや品川庄司の品川さんも同様の例だろう。これは「いじめ」と一緒で、人々というのはいじめている側からは1つの娯楽であり、お金もかからない、技術もいらない、工夫もいらない、とっても手軽にできる娯楽である。何10年、何100年と「いじめはやめよう」と叫び続けてもなくならないのはそのためだろう。

僕達はこの瞬間に未来を変えることはできない。でも過去は変えることはできる。皆さんの人生はたくさん失敗してきたであろう。ネガティブな過去は人前に晒してネタにすると、目の前にいる人達が笑ってくれて、その瞬間、ネガティブな過去が輝きはじめる。失敗したところで終わるから「失敗」になるのであり、失敗の度に工夫し、ネガティブな過去をポジティブなものへと転換し、成功するまで続ければ、それらの失敗は全て成功のために必要な部品となる。

中島太一とは何者か?『VALU生存教本 〜無名の個人が生き残るために〜』

VALU生存教本 〜無名の個人が生き残るために〜』著者:中島 太一(株式会社ストーリーボックス 、2017/7/17)

 

個人の価値が顕在化しやすくなってきている。お金は価値の一つに違いないが、近年相対的にその価値が下がってきているように感じる。時間や能力を始め、お金以外の価値が市民権を獲得し始めているのだ。本書は個人の持つ価値について、またその価値の創り方について触れている。

少なくとも私の知る限り、著者はVALUのサービスがローンチされるまでは無名の個人だった。言葉を選ばなければ「ただの人」だ、渋谷ですれ違っても間違いなく気にも留めないだろう。そんな彼の存在はVALUによって大きく変わった。いや、もともとあった価値がVALUによって周りに認識されたのだ。

なぜか、その理由を本書では「VALUとは人間の食べログである」と説明している。過去には個人経営の店には大きなハンディキャップがあった。どれほど美味しい料理を提供できようとも、必ずしも集客に繋がらなかったはずだ。大型チェーン店と比べれば資金力に大きな差があり、安易にマス広告に頼ることもできず、出店場所の立地も然りだ。それが今では飲食店情報のプラットフォームサイトが現れることで、大型チェーン店と小さな個人経営店の勢力図が変わった。本来備わっていた価値が、口コミという評価で広がったのだ。
それが今回VALUサービス上で、個人に対して同じことが起こった。サービスを介することで中島太一という個人の価値に周りが気づいたのだ。誤解してはいけないのが、サービスによって個人に価値が付与されたわけではなく、個人の持つ価値がサービスによって気づかれたのだ。

本書で取り上げているVALUは、個人が持つ価値が顕在化するきっかけの一つに過ぎない。今後さらに個が問われる時代になるだろう。ではそのような時代をどのように生きれば良いのだろうか、そう不安に思う方は著者本人に直接問うのも良いかもしれない。ただし気をつけてほしい、渋谷ですれ違うことはできない。なぜなら著者は暇つぶしにチェコに旅立ち、この書評を書いている現在、彼はスウェーデンにいるらしい。きっとすぐにまた違う国に飛び立つつもりだろう。著者は面白い人と思える人には積極的に会うらしい。あなたに価値があれば、そう遠くはない未来に著者に会うことになるだろう。

その日が来るまで、今はぜひ本書を読んで待っていてほしい。

あなたが人生で最も後悔したことは何ですか?『人生で大切なたったひとつのこと』

『人生で大切なたったひとつのこと』著者:ジョージ・ソーンダーズ(海竜社、2016/1/27)

スティーブ・ジョブズ堀江貴文。大学の卒業式での伝説のスピーチと言えばこの2人が日本では最も有名だろう。他にもtwitter CEOディック・コストロ、ハリーポッター著者のJ・K・ローリング、そして今回紹介するジョージ・ソーンダーズのスピーチが有名である。

あなたが人生で最も後悔したことは何ですか?。好きな人に思いを伝えなかったこと?。もっと勉強してればよかったこと?。もっとあの時ああしとけばよかったのに。

アメリカの研究で80歳以上の老人に後悔していることは何ですか。と言った質問をしたところほとんどの人が「チャレンジをしなかったこと」と答えた。そして、次点で多かったのが「人へのやさしさが足りなかったこと」。

逆を考えよう。あなたがこれまで出会った中で、最も好ましかった人の特徴は何だろう。

2013年シラキューズ大学の卒業式で、ジョージ・ソーンダーズは8分間のスピーチを行なった。そこで、若者への助言として『人生で大切なたったひとつのこと』についてのスピーチを行なった。大切なことは「やさしいひと」になることだ。自然と優しくなるのを待つのではなく、必死に「やさしいひと」になることを目指して欲しいという。スピーチではジョージ・ソンダースの人生での後悔、「やさしいひと」になって欲しいと若者に伝えたたその理由が話され全米で話題となった。

ジョージ・ソンダースによる伝説のスピーチは以下のリンクから見ることができる。ググれば訳文もすぐに出てくる。しかし本書は是非「本」として手に入れ、手元に残すことをお勧めする。「やさしいひと」になることは非常に難しいことだ。だか、ふとした時に目に入ると人生の羅針盤として「やさしいひと」になるということを思い出させるだろう。それが紙の本にしかない力だと思う。

ジョージ・ソーンダーズ 伝説のスピーチ
https://goo.gl/UzFkh1

https://goo.gl/KAVrJs

『劇場』

『劇場』著者:又吉直樹(新潮社、2017/5/11)

作者が又吉氏ということもあり、どうしても主人公と作者がかぶってきて想像が膨らむが、その要素を一度無視して感じたことを書きます。
これは劇団の脚本家としての夢を諦め悪く追う男・永田と、東京になんとなく出てきて専門学校に通う女・沙希の恋愛の話。

二人が出会ったばかりのころ、お互いがなぜかピンときて、お互いが自分がもっていない魅力にひかれあっているシーンが、物語が終わりに近づくにつれて切なく思い出される。お互い似ていないからこそ惹かれあい、似ていないのにお互いだけが理解者なんじゃないかと思うのは、恋の奇跡で、まさにこの世の春。

でも時間は過ぎる。恋に落ちて、恋が続く春は一瞬だ。
年月が経つにつれ、お互いが人生に求めるものは変わってくるし、人生に対する見方が違うこともわかってくる。
違う人間なんだから当たり前なんだけど、恋愛においてかなりの確率で起こるそのすれ違いは、ただ寂しい。どちらかが悪いわけではなく、しょうがないことだからこその寂しさだ。
ずっと一緒にいた人と離れるのはすごく寂しい。でも一緒にいることもしんどい。そんな局面を二人も迎える。

この物語は、どこにでもある、とてもありふれた、普遍的な話だと思った。
だからこそ少なくとも私にとっては、自分の物語だと感じられた。ときに永田に、ときに沙希に共感しながら、一気に読み終わった。

二人が別れる最後、永田が沙希に自分が成功したらしてやりたいことを語るシーンは泣けてくる。だってそれがきっと実現されないことを、二人ともわかっているから。でもそのときの永田は嘘を言っているつもりもなく真剣だし、その気持ちは沙希もわかっている。
すごく嫌いになるわけでも、憎くなるわけでもない。それでも好きな人と別れることって、誰にでもあると思う。

そんなよくあることだからこそ、こんなに丁寧に書かれると、自分の心の奥底にまで触れられたような気持ちになる。
ストーリーを説明しようと思ったらおそらく一瞬で説明できる話だ。それでもこの二人の話として、一冊読まないと味わえない世界があるのだから、『劇場』は小説として大成功していると思う。

みんなでハイタッチしようか『会議でスマートに見せる100の方法』

『会議でスマートに見せる100の方法』著者:サラ・クーバー(早川書房、2016/12/15)

会議中の重役というのは非常にスマートだ。どんなに内容のない会議であってもスマートに受け答えする。スマートに会議をこなすことができれば、出世街道まっしぐらなのではないだろうか。本書は会議をスマートにこなす裏技を集めたものである。

会議というものはとメールで済む話について、話すこと、次回の会議日程を決めることが大きな議題となる。まずは評者が選んだ会議時に明日からすぐに使える簡単でスマートな返しをあげていこう。
①パーセンテージを分数に言い換える
「約25%です」
「つまり1/4と言うことだね」

②スライドを戻してもらう。
「ごめん。一つ前のスライドに戻って。よし、次に進んで」

③反論しようのない当たり前のことを言う。
「現実に向き合わなくては」
「優先事項に集中しなければ」
「正しい選択肢を選ぶべきだ」

④革新的、エキサイティング、テクノロジーという言葉をちりばめて答える。
「犬の散歩に関する革新的なテクノロジーを開発しているの。すごくエキサイティング」

以上のように全く話を聞いていなくても、会議中にスマート見せる技術が100も紹介されている。これは革新的なことであり。つまりイノベーションで、エキサイティングである。ここでは紙面が足りないので書かないが、他にも最新テクノロジーを駆使した、革新的な会議中のテクニックが紹介されている。興味がある人は是非オフラインで話そう。会議日程を調整してくれ。

とにかく、以下のことがみなさんのTo Doリストだ。チェックを入れて使えるようになっている。なんてエキサイティングなことだろう。
□この記事をシェアする。
□この本を買う。
□友達の分も買う。
□この本について話し合う会議を開く。
□その会議のフォローアップ会議を行う。

https://goo.gl/iJuyTt

全力で逃げろ!『逆転力』

全力で逃げろ!『逆転力』著者:指原 莉乃(講談社、2014/8/11)

「戦う」ということは目的を達成するための手段だ。一方で著者は1番になるために「逃げる」という手段を正しく選択している。それは格好悪いことなのだろうか、否。格好悪いという評価があるとすれば、それは手段そのものではなく、目的を忘れて手段に固執することだろう。

著者の所属するグループは海外メンバーも合わせれば、当時で500人にもなる大組織だ。何かで頭角を現すということは、つまりはこの500人の中で1番になるということに等しい。さらに言えば、この500人は選抜済みの集合体だ。容姿やダンス、トーク、対人能力、ファッションセンス、、、先天的か後天的は問わず、全員がこのグループたる理由をもっている。この中で輝くことは非常に難しい、なぜなら周りも全力で輝こうとしているからだ。
ではどうすれば1番になれるのか。本書でははっきりとこう述べている。

“同じ土俵で戦わない”

とてもシンプルだ。容姿で勝てない、ダンスで勝てない、センスで勝てない、ならその土俵では戦わない。勝算の低い土俵は徹底的に避ける、「一生懸命頑張った」という思い出づくりが目的ではないのだ。では勝ち目の無い土俵から逃げた先にどうすればよいのか。著者は他と比べられることが無い、もしくはライバルの少ない土俵を自らで作った。例えばそれは「ヘタレ」もしくは「いじられキャラ」が著者の作った土俵だ。当然ライバルは少ない、そもそもこの土俵でライバルが多いのならきっとグループ自体が成立していないだろう。

正々堂々と高い競争倍率を勝ち抜き1番になることは尊い。しかし、勝負の前に土俵に上がれる人数自体を減らし1番になる、結果が同じであれば価値も同じであるはずだ。このように著者は日頃から徹底的に自身の競争優位性を考えている。

本書のテーマは“弱者戦略”だ。弱さを受け止め、その上で“どう勝つべきか”が著者の体験を元に語られている。いま置かれている環境の中でもがいている方にはぜひ手に取ってほしい一冊だ。目的を達成するための手段は、必ずしも戦うこと一択が選択肢ではないのだ。

お酒のお供に『BARレモン・ハート』

BARレモン・ハート』著作:古谷 三敏(双葉社、1986/2/18〜)

仕事が終わって疲れて帰宅。好きな音楽でもかけ、リラックスしながらゆっくりとお酒を飲むのは至福の時間である。そんな時間のお供にオススメな作品が『BAR レモンハート』である。本作は一軒のBARでのマスターと客とのお酒を中心とした1話完結のストーリーが描かれたマンガである。

本作品は都内某所の「レモン・ハート」というBARで繰り広げられる。マスターが客に語るお酒に関するうんちくが中心で読むと自然とお酒の知識が身につく。また、1話完結なのもお酒を飲みながら読むのに丁度よい。BARで繰り広げられるサザエさんのようなものだ。

また、本作品は1986年に始まり、今でも連載が続いており、書評を書いている現時点で32巻まで発刊されている。さらに2015年にはドラマ化、2017年3月にもスペシャルが放送されている(10月1日にスペシャルも決定)。著者によるお酒についての関連書籍も多く出版されているのでそちらもチェックしたい。

惡の華』の著者で有名なボードレールは「勤労は日々を豊かにし、酒は日曜日(週の始まり)を幸福にする」という言葉を残している。本作品があれば月曜日を、否日々を幸福にするための時間がさらに素晴らしくなるだろう。お酒が好きな人、お酒に詳しくなりたい人に是非お酒と共に楽しんで頂きたい。読むたびに初めて読むかのように何度でも読める素晴らしいマンガである。

https://goo.gl/SmYoK3

言葉が思考を柔らかくする『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』

『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』著:武田砂鉄(朝日出版社、2015/4/25)

 

具体的に誰が泣いたのかわからない映画の宣伝文句、「全米が泣いた」。年寄りがよく言う「若い人は、本当の貧しさを知らない」(「若い人は、苦労を知らない」も然り)。結婚式での定番、「育ててくれてありがとう」。そんな今まで何度も聞いたことのあるような決まりきったフレーズがある。そんな「紋切型」の言葉をとりあげ、その裏にどのような思惑があるのかについて考察した本である。

安易に使われる紋切型の言葉が表しているのは、いわゆる「世間」や「常識」のようなものだが、当たり前のような顔をして存在するものへの著者の批判的な視点がとにかく熱い。この情熱の裏には、その「紋切型」に当てはまらない少数派の人たちの存在や気持ちへの想像力、優しさがあるように感じた。

例えば「育ててくれてありがとう」という言葉。結婚式の花嫁から両親へ贈る言葉での定番だが、それだけではない。最近の小学校では「二分の一成人式」という行事があるそうで、10歳という区切りの年に子どもは親に感謝し、親は子どもの成長を喜ぶというものだそうだ。ベネッセの調査によるとこの行事に対する親の満足度は9割だそうだが、そもそも教育とは残りの1割に目を向けることを教えるものではないかと著者は正論を言う。

この本の書評を書くのは、なかなか怖かった。文章を書くときに、「紋切型」の言葉を使って書くことは楽で一応の恰好はつくが、それではこの本に失礼だし、自分の言葉で書こうと思うとなかなか筆が進まず、本を読み終わってからもう1週間が経ってしまった。そして書くときだけでなく、人と話すときも同じで、普段波風を立てないために「紋切型」の言葉に頼りがちであることに気づかされた。

言葉はその人の思想や人格を表すと思うが、人間性までも紋切型にならないように、少数に目をつぶることがないように、自分の言葉で考えなければいけないと、著者の真剣さに背筋が伸びる一冊だった。

とりとめのない書評だと思った方にはぜひこの本を読んで自分の言葉で考えていただきたい。本書でも取り上げられている、24時間テレビで何度も叫ばれる紋切型のフレーズを最後に記したい。「本当の主役は、あなたです」。