皆さんこんにちは。湊かなえの作品にはいつも心を揺さぶられますが、「リバース」もその例外ではありません。この作品は、「深瀬和久は人殺しだ」というショッキングな一文から始まります。サラリーマンとして平凡な生活を送る深瀬和久に突然届いたこの手紙。彼は一体なぜ、誰に、こんな手紙を送られたのか。その謎を追う物語が、彼の現在と大学時代の過去を行き来しながら展開されます。
物語の中心となるのは、大学時代の友人との関係です。大学を卒業してからも彼らとの絆は続いていましたが、ある事件が彼らの心にずっと残っていました。その事件とは何だったのか?誰が深瀬に手紙を送ったのか?その真実が少しずつ明らかになっていく過程は非常に次の展開が気になります。
湊かなえの作品の醍醐味は、何と言っても登場人物の内面を深く掘り下げる心理描写にあります。深瀬の心の葛藤や、友人たちとの微妙な関係性の変化が丁寧に描かれており、読者は彼らの気持ちに共感しながら物語を追っていくことができます。場面によっては共感が一種の辛さをももたらします。
特に、学生時代にクラスの中心ではなかった人には響く小説だと感じました。私自身もそのような経験があり、深瀬の内面や彼の友人との関係性の心理描写には共感する部分が多かったです。