HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】超高齢化社会の必読書『親が倒れたら、まず読む本』

著者は、フルタイムの仕事を続けながら10年間、両親を介護した女性。
介護の傍ら、社会福祉士宅建ファイナンシャルプランナーの資格を取得。
現在は、介護で苦しむ方の助けとなるべくして「在宅介護エキスパート協会」の代表を務めている。

「介護」と聞くと、キツイ、汚い、大変。しかし、「妻の任務」、「育ててもらった恩を返す子供の責務」このように考える人が多い。
しかし、介護する側にも仕事や生活があり、かけられる予算、時間にも制限があるので、一人で支えることは無理。
上手に協力者や介護サービスを活用しながら長い期間を乗り切るのが正しい解決策である。

本書は、入院、介護サービス、認知症者の接し方、介護施設の入居など、症状の悪化とともに直面する問題の対処方法が記されている。

親が倒れたら「救急車を呼んで、保険証持参で病院に付き添う」。
しかし、到着したあとに、入院申請書、入院誓約書はもちろん、2人の保証人、心臓が止まったあとに心肺蘇生を行わない同意書などの提出が必要になる。
認知症があれば、夜中に徘徊して機器等を触るなどの事故を防ぐために身体を拘束する同意書も提出することになる。
その他にも、服用している薬を持参していなければ、早急に取りに戻る必要があり、継続的に服用させる場合は、おくすり手帳が必要となる。

入院だけで、こんなにも予期せぬことが待ち受けているが、病院と縁遠い人は、これらのプロセスを知る由もない。
退院したあとも、足腰が弱ったり、認知症が進んだりすると、訪問介護や施設を利用することになるが、申請手順について知見がなければ、その度に混乱することになる。

65歳以上の高齢者が人口の21%を超える社会を超高齢社会という。
地域やエリアにより違いはあるが、人口の29.1%が65歳以上の日本は完全な超高齢化社会
親が倒れたらどんなことが待っていて、その対処策を何となくでも頭に入れておくだけで、対応の仕方が大きく変わる。
親の介護が必要になる前に一読しておきたいものである。

作  者:渋澤和世
発売日:2019年8月5日
メディア: プレジデント社