今こそリベラルアーツ(自由に生きるための教養)を学び、あなたの物語を生きよう!
著者は年間1000冊の読書を10年続ける中で得られたリベラルアーツを理解し、実践するために重要な古今東西、時代や国や職業もバラバラな34人の偉人、101のキーワードが凝縮して紹介されており、興味や思考を広げるきっかけになる一冊。
これを入口に、リベラルアーツをより深ぼって実践していってはいかがでしょうか。
自由に生きるためには教養が求められます。ただし、リベラルアーツと呼ばれる教養(世界の基本構造)を身に着けるだけでは不十分で
自分自身の経験や価値観からなる自分軸を起点に最新の世界観を把握し、これらを組み合わせることで実践が出来るようになります。
本書では、著者がこれまで行動を起こすきっかけとなった視点や考え方が順序立てて紹介されており、それを追体験しながら、思考を広げ、感じて、身に着けるきっかけになるように色々な仕掛けが散りばめられている。
本書に度々出てくるが、色々な思考実験を通して答えのない問いを考え、他者とお互いに意見を言い合うという体験は、他者の価値観が考え方、視点などに触れることができて、刺激になるし、面白いかもしれないと思った。
また、普段はあまり意識しないが、自分たちが世界を見るときには色々なバイアスが掛かっていることを意識すべきであり、一度その認知や判断を疑うことが必要。そうして、他者との違いを意識し、理解しようと努めることがコミュニケーションの基盤となる。
印象的だったのは、ビッグバンの話のところで、すべての原子が法則通りに振舞うとしたら、宇宙は均一に広がり冷めていくだけで原子同士は出会うこともなく、私たち人間はおろか、銀河も生まれなかった。古代ギリシアの哲学者エピクロスは、原子をはじめ、あらゆるものは法則通りに振舞うのではなく、自ら逸れていくと考えた。つまり、原子も予測できない、変な動きをする。これは法則の必然性や絶対性を否定しており、科学には最初から限界があり、偶然や例外が発生するという考え方。これを私たちの生活に置き換えると、組織や制度にただ従って動いていたのでは何も生み出せないかもしれないが、慣習を疑い、習慣を変えることは創造的であり、いつもと違うことをすることは、いつもと違う結果になる確率があがることになるため、従わないということには意味があると筆者は言う。学校や会社に合わないと感じたら、飛び出してみる。それは、結果を予想できない分、希望的である。自分で考え、自分で決めて、飛び出したのなら、新しい世界の扉が開かれ、何かが生まれるかもしれないという言葉には感銘を受けた。
終章で筆者は「あなたはどんな物語を行きたいか」という答えのない問いで本書を締めくくる。
さあ、あなたもこの本をきっかけに、自由に生きる人生を始めてみませんか。
発行所:朝日新聞出版社
著者 :矢萩 邦彦