HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】「文章は苦手」は思い込み。『ロジカルな文章、情緒的な文章』

文章にとってスキルやテクニックは本質じゃない。
必要なのは、文を書く「勇気」、情報を伝えたいという「情熱」、読み手に貢献したいという「愛」、人に伝えねばという「使命感」の四つであり、あとはアウトプットするだけだ。
と、諭す著者は、元々は本を読むことも、文章を書くことも全く苦手だったそうだ。なのに何故だか読売新聞に入社、新聞記者になった。
1年、2年経ってようやく小さな記事が採用され、それからは文章が上達していき、一面トップを含む特ダネ記事をたくさん書くことが出来るまでになった。
しかし、新聞社に11年従事したのちに独立して、壁にぶち当たってしまう。
文章のプロを自認していたので、ブログを書こうと思った時も楽勝だろうと考えていたのに、ウェブユーザーに全くウケない。
人気ブロガーの知人に言われたのは、
「文章がカタすぎるんだよ。だから面白くない」
ウェブでは”やわらか文章”が好まれるというのに、著者が培ってきたのは”かっちり文章”だったのだ。
それから、数多くの文章を書いては、反応を見て、改善するというトライアンドエラーを重ね、「伝えるべき情報かどうか」という記者の主観ではなく、「読み手にメリットはあるか」というニーズ第一の観点による文章の書き方を身に付けたという。

著者は、記者時代から何千人もの人々からお話を聞いてきた。本当に人間って面白い。底知れない魅力がある。一人として同じ人間はいない。必ずその人数だけのドラマが何かしらある。
あなたにしか書けないことが必ずある。あなたの言葉で自信を持って書いていただきたい。
あなたには、自己評価以上の価値がある。だから語ろう。
そう読者に問い掛けるのである。

という訳で、以下、文章を書き出す為の根本セオリー、ロジカルな文章の書き方、「好き」と思わせる技術、心をわしづかみにする文章の書き方などの披露が続く。
私自身は、自社商品販売用のウェブサイト用にコラムページの記事を執筆したり、プレスリリースやお客様へのDMなども書いていたし、仕事上必要を感じてSNSも2010年辺りから始めていたので、文章を起こすこと自体に特に抵抗は無い。
ただ、ウケの良い、例えばnoteなどで「スキ」が何百件も付いちゃうような記事ってどうやって書くんだろうか、と思って読んでみたのだ。
そういう趣旨からすると、如何にして読み手の心を掴むのか、という後半部にまず興味が湧いたが、なかなかどうして、ロジカルな文章の書き方にだって読まれ易くなるノウハウがちゃんとあり、”かっちり文章”と”やわらか文章”には相違点もあるが、共通項もあるということが通読してみて良く分かった。
物書きするには、これは大変結構なツールじゃあないですか。
とは言っても、本書に書かれていることを全てマスターしてから書こう、なんて完璧主義に走る必要はない。

下手で良いからまず書く。アウトプットしましょう。

ロジカルな文章、情緒的な文章
作者: 坂本宗之祐
発売日:2022年7月1日
メディア:単行本