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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】馬鹿なことを考えながらたらたらと生きる。それが若者である。『村上朝日堂』

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どんな風に書くかというのは、どんな風に生きるかというのとだいたい同じだ。どんな風に女の子を口説くかとか、どんな風に喧嘩するかとか、寿司屋に行って何を食べるかとか、そういうことです。

著者は文章を書くことについての質問をよくもらった。文章を書くコツは文章を書かないこと、要するに「書きすぎない」ことらしい。

でも若いうちから、自分にふさわしい内容やスタイルが発見できるかというと、これは天才でもないかぎりむずかしい。

だからどこかから既成の内容やスタイルを借りてきて、適当にしのいでいくことになる。文章というのは量を書けば上手くなる。でも自分の中にきちんとした方向感覚がない限り、上手さの大半は「器用さ」で終わってしまう。

それではそんな方向感覚はどうすれば見につくか?これはもう、文章云々をべつにしてとにかく生きるということしかない。

本書は、著者が30代半ば頃に書いた雑文集です。小説で見せる独特な感じとは全く違う、村上ワールドを見せてくれます。

著者だって、その頃は普通の若者で、精一杯生きていたんだなあと気付かされます。ちょっと、いや、かなり変人だけど。結構古い本だけど、それでも色あせず面白いです。

口数は少ないけれど、頭の中ではごにょごにょとあれこれ考えていて。普通なら見過ごしてしまうことにも面白さを見出せる。

それを共有してくれるんだから、ありがたいです。評者も決して口達者ではないので、頭の中でいつもごにょごにょやっています。(笑)

けどこんなに面白いこと、思いつかないな〜
と、いつも羨ましい気持ちになります。
さらっと読めるので読んでみてね。

 

村上朝日堂 (新潮文庫)

村上朝日堂 (新潮文庫)