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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】諦めずに想いを継続できる人は、かけがえのない人『私はスカーレット Ⅰ』

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本書は名作「風と共に去りぬ」を著者、林真理子氏のアレンジにより主人公スカーレット・オハラを一人称にして新たに生まれ変わらせたストーリーである。

世界的な有名作品にもかかわらず、評者自身は、小説や恋愛ものはあまり読まないため、ストーリーを知らなかった。今回は紹介により「今」作品を知るきっかけが与えられたことに感謝したい。このタイミングで、本書と出会ったのは、偶然なのか、必然なのか、何だかとても面白い。

本書では、南北戦争時代のアメリカ南部を舞台に、激動の中、スカーレット・オハラの恋愛を通しての波瀾万丈な生き様について書かれているが、著者によると「理想の人とめぐり合い、お互いに同じぐらいのエネルギーで好きあう、なんていうのはまず奇跡に近い」そうだ。

しかし「思いもよらない相手と出会う」このようなドラマティックな展開もある。そう教えてくれたのが本作「風と共に去りぬ」だと著者は言う。また著者が作家になるきっかけともなった作品でもある。

恋多き美しきスカーレット。実はそれは表向きの姿。本当は、一人の人を一途に想い続ける可憐な人。多くの人にモテて、チヤホヤされたところで、自分の興味のある人からモテなければ、なんの意味もない。そのためなら、どんな壁があっても厭わないその根性は凄い。

たくさんの選択肢がある中でも、一人の人を想い続けることができる人は、男女を問わず、並み大抵ならぬ精神力の強さと、精神の安定を保てている人だ。なぜなら、様々な困難な状況がある中では、自分の気持ちさえも継続させることはなかなか難しい。

時には思いもよらぬことが次々と起こる世の中で、スカーレットのようにどんな状況でもなおも、想い続け、諦めないという気持ちを持てる人はそれだけでも、まさに著者の言うところの「奇跡の人」に匹敵するのだろう。

人と異なる行いをすることにより、一瞬にして人々から標的にされ、誹謗中傷の嵐にあってしまう。しかし、ルールがあろうが、また人に何を言われようと我が道を行くのはかなり勇気ある行動だ。

思うようにならず、不安に苛まされたときに、その人自身の本質があらわれる。自分に誇りを持ち、自分らしく堂々とする。世の中の状況に惑わされない自分自身を保っていける強さが、重要なのだ。

時代が変わっても、その根本は変わらない。本書は、そう教えてくれる一冊である。

 

私はスカーレット (1) (小学館文庫)

私はスカーレット (1) (小学館文庫)