HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】自分とは?個性とは?『「自分」の壁』

 自分というものを掘り下げてみると実はあまり深くなく、どちらかと言えば周りの事がよく見えてくる、読んだ後、私はそう感じた。一見矛盾しているように感じるが、この本を読むと「なるほどなぁ」と腑に落ちてくる。自分が生かされているんだなぁと、しみじみ思う。

 本の構成としては始めは自分の事についてフォーカスしているが、エネルギー問題や政治の話、情報社会など周りのことに広がってくる。そして、最後はまた自分の事について戻ってくる。最後の章では原点に戻ったけど、新しい視点を持って話を進めているように感じた。

 特に印象に残っているのが伝統芸能の師弟の話だ。入門した弟子は、まず徹底的に師匠の真似をさせられる。それを10年、20年と続けていくと師匠と全く同じように出来ないことに気がついてくる。どこかがどうしても違ってくる。その違いこそが師匠の個性であり、また弟子の個性でもある。徹底的に真似をする事で個性は生まれてくる。しかし前提条件として師匠がきちんと基礎を学んでいる事である。でたらめな人であったら、どうしようもない。

 この師弟の話を読んだ時に志村けんさんの言葉を思い出した。「非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけないんだよ。」