「この世の存在はすべて情報次第でいくらでも変わってしまう」
この書籍の中で特に心に残った言葉だ。例えば、今日別れたカップルがいます。前日までは彼女だった女性が今日別れた瞬間、元彼女という存在になる。他の例として中国の故事でこんな話がある。秦の高官だった趙高は皇帝に「珍しい馬がいました」と言って鹿を連れてきた。皇帝が疑問を投げかけるが、趙高は馬だと言い張る。挙げ句の果てに趙高は周りにいた趙高を恐れる諸侯に鹿を馬だと同意を求めるように圧力をかけた。馬鹿の語源と言われる逸話である。趙高の権勢が長く続いたら、鹿は本当に馬になっていたかもしれない。
このように相対的な関係性により、存在というものはいくらでもかわる。あやふやなものでまるで幻のようである。著者である苫米地氏のいう悟りは「この世は幻である」と理解すること、と諭している。そして、悟りはスタートであり、悟った後にどう生きるか、が大事であると。この先は釈迦の悟りの話や人間関係に疲れた方に少しでも参考になるような考え方なんかも書いてある。
私自身書いてある事すべてに共感はしないが、心に響いた言葉はいくつかある。題名からして読む人を選びそうだが、生きる上で大切な考え方であると感じた。自分自身を見つめ直す機会として、読むのも面白いかもしれない。