善人でさえ救われるのだから、悪人でこそ救われなければならない。
本書はそんな逆説的な親鸞の教えを、直弟子である唯円がまとめたものである。
この教えは弥陀の本願が、煩悩や罪業の深い我々を平等に救うために立てられたものである事から説かれている。
したがって、より煩悩や罪業が深い悪人も弥陀は救って下さるという訳である。
ただしこれはいくら悪行を行っても構わないという意味ではない。
本文で親鸞に心酔し、なんでも言う事を聞くと言った唯円に対し、親鸞がとんでもない事をするように命じる場面がある。
当然唯円は断るわけだが、そこで親鸞が心にもない事はそもそも出来ない事、さらには盲目的に人に従う危うさを直弟子に説いている。
救われるからと言って、わざわざ自らの信念から外れた悪行を犯すべきではないのだ。
本書は先に述べた通り、親鸞自身の著作ではない。
直弟子である唯円の著作である事を念頭において読み進めて欲しい。
仏教本であるが、非常に考えさせられ、古さを感じない一冊となっている。
私は本書を何度も読み返し、生きる上で必要なのは自らが正しいと思う事を人に左右されず貫く事なのだと理解した。
皆さんはどう感じるだろうか?