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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ウリセンもイロイロ『ゲイ風俗のもちぎさん』

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本作は、ウリセンいわゆるゲイ風俗で働いていた作者の経験を基に、ウリセンの従業員目線から見える世界を主軸として描いている。ウリセンそのものだけでなく、ゲイ業界に関することや、作者の半生などいろいろと考えさせられる内容、共感できる内容となっている。

ウリセンという言葉について、馴染みのない方もいると思うので簡単に説明しよう。ウリセンとは、ゲイ風俗ともいわれ、男が男を買う風俗である。巷には、デリヘルのような男が女を買う風俗はたくさんあってイメージしやすいと思うので、そんな感じの男が男を買うバージョンだと思ってもらえればいい。これを読んでもピンと来ない人には、「そういう世界もあるのだよ!」としか言えない。ひょっとすると、何も知らない人にはアングラな世界に思えるかもしれないが、ウリセンで検索してみると本作品の舞台の新宿二丁目だけでなく地方都市でも何件かヒットする。アングラかもしれないけど、そこまでアングラでもない。

ウリセンのこと、ゲイ業界のこと、いろいろと楽しく読み進められる。ただ、本作の中で私が一番、共感して心に刺さるのが、主人公がゲイなことをばれて会社を辞めるように追い込まれるところだ。ゲイについてあまり知らない方々は、ゲイについてその人の先入観で判断してしまう。よくあるのは、性に奔放で男なら誰とでもやれちゃう、誰のことでも狙っているかのように考える人達。現実には、異性愛者と同じように、同性愛者でも好きなタイプはそれぞれ異なっているのだが、そこがなかなか理解されない。私は作者ほどの辛い経験はしていないが、似たような経験はあるのでそこが凄く共感できた。他人からの変な押しつけが少ないから、新宿二丁目などのゲイタウンが心地よく感じられるのだ。

作者のもちぎはTwitterのフォロワー数が58万5千人(2020年11月24日現在)。普段のツイートも楽しいので興味があるなら、ぜひぜひフォローしてもらいたい。他の作品としてゲイバーでの経験を基にした『ゲイバーのもちぎさん』も同時進行中である。

本作品はウリセンという仕事について知りたい人、ゲイ用語やゲイ業界にもっと詳しくなりたい人、何となく興味がある人、生きづらさを感じている人、Twitterでもちぎさんの絵を見て良いなと思った人などいろいろな人にオススメできる。
ぜひぜひ、もちぎさんが見てきた世界を共有して、いろいろ考えてもらいたい。