評者はHIUに入り、様々な人たちと出会って話をする中で、いつも思うことがある。それは、「なんて若々しい人が多いんだろう」ということだ。
本書によると、自律神経を整えるうえで決定的に重要なのは、「ムダを手放す力」のようだ。そうか、若々しく溌剌とした人たちに共通するのは、「ムダを手放して楽しいことだけに焦点を当てている」という点だったのか。本書を読んでそう納得した次第である。
自律神経を整えるためにはもちろん、働き方、つまりは生き方を変えなければいけない。言葉にすると簡単に聞こえるけれど、なぜ人はそれをできないのだろうか?
その原因は、「いままでの自分」を手放せないことにある。
自分にとって価値がないもの、自分ではどうにも動かせないことについては、さっさと手放して、見切りをつける。これができる人は、自律神経が乱れないそうだ。
そして人がなかなか手放せないもののうち、最も自律神経バランスを乱すもの。それは後悔と不安である。
これらに共通しているのは、「いま、目の前にあるわけではない」ということだ。こんなものを大切に持ち続けるメリットは、全くもって、何一つないのだ。逆に、後悔や不安という「究極のムダ」を手放すことができれば、もうほとんど手放せないものなどなくなる。
ここで大切なのは、「これからの人生では「いまの自分」がいちばん若い」という事実である。
「いまがいちばん若くてなんでもできる」と思っている人と、「もう年だから何もできない」と思っている人。両者の違いは圧倒的だ。「いまの自分」に集中していれば、年齢なんて関係ないのだ。
「いま」に焦点を当てることで、過去への後悔や未来への不安にとらわれることはなくなる。
逆に言うと、「いま」を大事にしなければ、「未来」は決して開けないのだ。
著者は腸のスペシャリストとして有名な、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏である。本書は、医学的知識を踏まえつつも、物事への向き合い方、作法、姿勢の話が主な内容となっている。
本書を読んで、何か自身の行動を一つ変えてみる。考え方を一つ改めてみる。それだけでも自律神経は少しずつ整い、「いま」の自分もきっとよくなっていくのではないだろうか。現代人必読の本だと思う。