本書では、着物の着方、所作、着崩れの直し方や手入れについて、また着物の種類や伝統文様、その入手方法や着物仲間のつくり方などがマンガでわかりやすく紹介されている。
また、なかなか難しい着物用語も巻末にまとめられているため、よくわからない言葉はここで調べることもできるのだ。
着物は、40cm幅の反物を8つのパーツごとに裁断し仕立てている。そのため、一度着物になったものでも、再び反物に戻して洗ったり、染め替えもでき、長年着用できるのも特徴である。
そのため、世の中の変化も相まって、着物を使ったリメイク品が、フリマサイトで盛んに売買されている。縫い物が好きな人々が自宅で作製しているため、安価でデザインもバラエティに富んでいるところが魅力だ。
日本の風土にあった正絹の良さは肌身に感じ、評者も何年か前からはまっている。人気作家は、顧客の注文にあわせて服や小物を作製するため、すでに趣味の域をこえ、好きなことが仕事になっているのだ。
しかし、その取引は凄まじく、人気作家の作品は出品から数秒で購入される。気に入ったら瞬時に決断しないと手に入らない。良いものは誰もが狙っているというのが現実だ。
それもそのはず、同じものは二つとないからだ。例えば一つの着物や帯から同じ形のバッグを複数作ったとしても、全く同じ柄を同じ位置に持ってくることは難しく、それがまたその作品の稀少性にも繋がる。
そうなると、ついつい夢中になって購入してしまうが、それをまた販売するか、何かしらの使い道が考えられれば、これも一つのビジネスになるのだろうか。
現在は購入したリメイク品の素材や縫製、着心地、使い勝手をチェックしている。どのリメイク作家がどんな作品を得意とし、価格帯やデザイン、柄の人気性等を調査中だ。
評者自身は、作るより 、良いと思う品を探して選択し、交渉して購入するということが好きなので、どちらかといえば、バイヤー気質なのかもしれない。
リメイク品に限らず、自分の洋服や小物は、問屋に行って購入するのが非常に楽しい。特に海外では様々な国から来た移民の人達が経営していることが多く、なかなか日本ではみられない大胆で面白味があるデザインの商品が多い。一点からでも購入できるため、お互いに変な英語で交渉するのも何とも面白い。
時代が変われば、またその時代にあったビジネスが広がっていく。日本が誇る着物の世界は、まだまだ展開できる道がありそうだ。