HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】最後にはいつだってテクノロジーが勝利する『ぼくは愛を証明しようと思う。』


恋愛工学。それは男の欲望を実現するための秘密のテクノロジーである。本作は、とある非モテ男子がこの恋愛工学を学び、数々の美女を虜にする恋愛プレイヤーになるまでを描いた物語である。

主人公は26歳のわたなべ。結婚を考えていた彼女に浮気され、ただ性欲を満たすために性風俗に通う典型的な非モテ男子。気分転換にやってきたバーで、初対面の3人の美女を同時に口説くモテ男を目の当たりにして衝撃を受けるが、それが知人の永沢であることを知り、彼から恋愛工学を学ぶことになる。

そこからは怒涛の実践演習の日々。1日で50人をナンパしたり、ラポールミラーリング、イエスセットといった女性を落とすテクニックを会話に織り交ぜたりなど、恋愛工学に基づき正しく恋愛をしながら、確実に女性を落とすテクニックを身に着けていく。そうして非モテ男子のわたなべは、たった1年でモテ男へと変貌を遂げたのである。

非モテ男子時代のわたなべの性格や行動は、驚くほど私とシンクロしていた。そんなわたなべがどんどんモテ男へと変身していく姿に自分を重ね、なぜか自分もモテ男になれる未来が見えた気さえした。しかし恋愛工学の前提として、モテる男はモテるゆえにもっとモテる、というものがある。同時に複数の女性と恋をすることで、さらに女性が寄ってくるというものだ。私はこの部分にどこか違和感を感じた。私と同様、わたなべもその違和感を感じていたようで、結局最後は一途にひとりの女性を愛す、ただの非モテ男子に戻ってしまった。

恋愛は運とスキルのゲーム。愛など必要ない。頭を使って戦略的にプレイしないとダメだ、と永沢は言う。でも、ドラえもんのび太のように、なんの取柄がなくても一途に愛し続ければいつかは報われる。そんな恋愛をつい期待してしまう。私もしばらくは非モテ男子からは脱出できなさそうだ。

 

ぼくは愛を証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

  • 作者:藤沢 数希
  • 発売日: 2018/08/26
  • メディア: Audible版