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【書評】派手なステージ衣装は、心の寂しさの裏返し『ロケットマン』

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本作品は、イギリスのミュージシャン、エルトン・ジョン氏の人生について、実話をもとに描かれたストーリーである。また、大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディー』の監督の交代劇で注目され話題となったデクスター・フレッチャー氏が監督を務めた。

 

エルトン・ジョン氏は、世界中の誰もが知るスーパースターである。背中に大きな羽を背負い、オレンジ色の派手なステージ衣装に身を包みながら、突如現れた先は更正施設のグループカウンセリングであった。そこから、ストーリーは始まる。

 

主人公は、子供の頃から両親が不仲であったこともあり、常に孤独を感じ、満足な愛情を受けずに育った。しかしそんな彼には飛び抜けた才能があった。それは、音楽だ。そして、寂しさを紛らわすかのように音楽に夢中になっていった。

 

毎回世界中のファンで会場を埋め尽くすほどの人気となったが、その裏では、人生に迷い、苦しみ、複数の依存症にも悩まされていた。どんなに人気が出て、知名度も上がり、誰もが羨むステータスを手に入れたにも関わらず、心の寂しさを拭いさることはできなかった。

 

家族や知人を招いた豪華なホームパーティーを行っても、自分の心にはさらなる疎外感が増すばかり。信頼していた恋人にも裏切られ、心が満たされることは、なかった。

 

そんな自分を奮い立たせるためには、あの派手なステージ衣装が必要であった。そして、それを身につけることにより、おどけたエンターテイナーを演出していたという悲しみの裏返しだったのだ。

 

そんなエルトン・ジョン氏の現在は、心を満たしてくれるパートナーと子供にも恵まれ、平穏を取り戻したそうだ。スーパースターでないとわからない、栄光に隠れた心の闇が表された作品であった。自分にとって、本当に大切なものが何かを考えさせられる作品である。

 

「ロケットマン」オフィシャル・ブック

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