“総論賛成、各論反対。”、組織が動かない時には概ねこのような状況に陥っている。本書はアナウンサーから福岡の市長というキャリアを持つ著者の、大きな組織を動かすためのリーダーシップ論だ。
多くの人間が関わる上で、全員が納得することはあり得ない。最適解を出すことが重要なのだ。その解を出すために必要なことは判断のための数字と、先を見通す情報だ。
数字はリーダーとチームのメンバー双方の判断材料に有効だ。“べき論”は正しいようで実は現実性には乏しい、そのような意見が飛び交ってしまうのも数字という地に足がついた根拠が無いからだ。
世の中がどのような方向に進んでいるのかを知るために情報は欠かせない。しかしリーダーだからと言って関わる全ての事柄に対して見解を生み出すことなど不可能だ。本書でも“トップランナーの目に何が映っているのかを共有させてもらえればいい”としている。
本書は福岡市という大きな組織を動かすためのリーダー論だ。政治や公共はビジネスと違って合理性が無いとは言われつつも、意外とビジネスの場にも合理性は少なかったりする。企業や仕事が多様化する中、学ぶべきは公共にあるのかもしれない、そう思わせてくれる一冊だ。
- 作者: 高島宗一郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/12/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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