HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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まずは“水兵きき”を検索しよう!『みかにハラスメント』

本作品は2005年に単行本が発行された水兵ききの代表作だ。少年誌に掲載するにはおそらく現在ではアウト、当時でもギリギリ・・・アウトだったのではないだろうか。

タイトルからもおおよそ推測はできるであろうが、登場人物の北川みかがこれでもかというくらいにセクハラを受け続けることで物語が進行する。キーになるのが姉の北川羽月だ、天才科学者である彼女の発明がきっかけで日常にズレが生じ、みかにセクハラの被害が降りかかるのだ。

第一話では姉の発明によって世界の常識が変わってしまう。その世界では女性が服や下着を身につけていることはとても恥ずかしいことだと、常識とは真逆の価値観に世界が染まってしまう。屋内外問わず、女性はトップレスで生活している。当然それが常識であるため人々はなんの疑問も持たずに平然と過ごしている、ただ一人みかを除いて・・・。

作品そのものを論じるに止まれば少年誌には過激すぎる種類の漫画という説明でピリオドは打てるのであろうが、時代ごとの少年誌のトレンドに想いを馳せると面白い。本作品のようなエロや、バイオレンスなどの刺激が強い作品は少年誌から姿を消して久しいが、最近徐々に市民権を奪還してきているようにも思える。万人ウケする作品ではなく一つ一つの作品でニッチなターゲットを獲得する必要性が出てきたのか、受け手も少々の刺激には寛容になってきているのか、この事象に対する議論は機会があれば参加してみたい。

一方で作者の水兵ききは作品の著作権を全て自身に戻し、新作を含め自身で出版活動を始めている。活動費用はクラウドファンディングを通じて集めている。現代は企業を通さずとも個人が社会にアプローチをできる時代であり、漫画家も同様だ。良いコンテンツを持っていれば個人で経済活動ができる。出版社やその他多くの企業の人間が覚えておかねばならないことは、自分たちが扱わずとも良いものは市場に流れるということだ。既存のルールで扱えないものがあるならば、まずはルールを変えられないかどうか、そこに焦点を当ててみてはいかがだろうか。リスクに怯えて良いコンテンツを扱わないという選択をしているにも関わらず、“売れない”という言葉を口にするのはなんとも滑稽だ。