HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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読んだ後が大切 『読書を仕事につなげる技術』 著者 山口 周 (中経出版、2015/10/17)

読書はそれなりにしている。読書で知識も得た。それなのに読書をうまく仕事に活かせてない。そう感じる人は多いのではないだろうか。本書は、そのような人のために、読書を仕事につなげる技術について書かれた本だ。

著者は、コンサルティング業界で活躍する山口周氏で、著者自身はビジネススクールで体系的に経営学を学んだことはなく、大学の学部及び大学院で学んだのは美術史という、ビジネスから遠いキャリアを歩んできている。そのような経歴ながら、その後10年以上もコンサルティング業界で仕事をしてこられたのは、読書を通じた学習のおかげだと著者は言っている。

ところで、私もそうなのだが、それなりに読書をしているのに、いまひとつ仕事につなげられないのは、何が問題なのだろうか。それを著者は、”読む量”ではなく、”読んだ後”に問題があると言っている。

では、読書をした後は、どうすれば良いのか。本書から少し紹介しよう。

本書では、読んでいる本がビジネス書かリベラルアーツかによって、読書の仕方を変えることが必要だとしている。そして、リベラルアーツの読書に関しては、“知識の抽象化”が大切であり、その例として次のようなものを挙げている。

抽象化前:アリ塚には一定程度遊んでいるアリがいないと、緊急事態に対応できずに全滅するリスクが高まる。

抽象化後:平常時の業務量に対して処理能力を最適化してしまうと、大きな環境変化が起こったときに対応できず、組織は滅亡してしまう?

本を読んだ後は、上の例のような抽象化することが大切であり、また、その副次的な効果として議論に強くなるといったこともあるとのことだ。最初はなかなか抽象化できないが、慣れくると仕事に関する思わぬアイディアが出てくることもある。

一方、本を読んだ後に抽象化を行わない、ただ本を読むだけの人は、どうだろうか?著者は、そういう人を、“ただの物知り”だと言い切っている。必ずしも読書を仕事につなげなければいけないわけではないが、貴重な時間を投資して読んだのだから、そこで得た知識を仕事に活かさないのは、とてももったいない。

というわけで、最初にも書いたが、読書がうまく仕事に活かせてないと思う人におすすめしたい一冊である。

 

外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

 

 

え、ブログで飯を食べる?『ブログ飯』

え、まだブログやってないの?

本書は「ブログを始めたい」と思っている人にはオススメしない。

考えてみてほしい。
たとえばあなたが、これからサッカーを始めようと考えた。
まず初めにやることは何だろう?

『サッカーとは』と書かれた本を読むこと?
それはちがう。
まずはボールを蹴りドリブルの練習をするハズだ。

つまりこの本も、ブログを始めていない人が読んでも意味はない。
あなたがブログを書き始めて、「楽しい、もっと上手くなりたい」と思ったそのとき!本書を思い出してほしい。
そのときが、本書を読む最高のタイミングだ。

著者がプロブロガーになるまでに経験した失敗と成功の体験を紹介している。

ぜひ読んでみてほしい。

ブログ飯 個性を収入に変える生き方

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世界一やさしい ブログの教科書 1年生

世界一やさしい ブログの教科書 1年生


『宮本から君へ』

 知らなかった。知ることができてよかった。こんなに心臓を掴まれるような漫画だったのか。

久しぶりに、一晩で一気に読んでしまった作品。
主人公宮本が、どんどん変化していく。否、本来の自分を取り戻していく過程を見ることができるから、ついつい惹き込まれてしまう。読んでいる僕自身も、自分の中の本来の自分を見つけながら読んでいたように思う。
自分は、自分が思う通りに、日々行動できているか?
読後、自身に問いかけざるを得ない。

この漫画、人によっては最初はくだらないと思う話もあるかもしれないが、どうか最後まできっちり読んで頂きたい。後半になるにつれて自分の心の声に従い、自分の本能のままに動くようになっていく宮本が見られるからだ。

物語の前半、宮本はうだつのあがらないサラリーマンである。そんなサラリーマンがどうやって営業の仕事を通じて一人前になっていくのかという話が中心で、そこにほとんどエグさはない。それはそれで読んでいて爽快であり、楽しいのだが。
本作品は、爽快感とエグさを同時に感じられる漫画として貴重だろう。

なお本作品は、著者新井英樹さんの初の連載作品である。

実は以前にも、著者の漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』は読んだことがあるのだけど、そこに爽快感はあまり感じられず、むしろ人間の本能をリアルに描きすぎていて目を背けたくなるような、端的に言えばブッ飛んでいる。という印象だけだった。
なので今は、本作品を読んでよかったと思う。この初連載があって後の作品が生まれてくるのだなと、妙に納得できたからだ。改めて他の作品を読んでみたいと思う。

 

宮本から君へ [完全版] 1

宮本から君へ [完全版] 1

 

 

今までの常識をくつがえす 『子育て支援と経済成長』 著者 柴田 悠 (朝日新書、2017/2/13)

社会保障は国の財政にとってはお荷物であり、経済成長にとっては足かせになる。これが今まで、暗黙の前提であり、常識とされたものだった。しかし、本書によって、その常識もくつがえされるのかもしれない、特に子育て支援においては。

本書は、2016年に勁草書房から出版された『子育て支援が日本を救う』を、最新の知見を新たに紹介しながら、分かりやすく噛み砕いた本である。著者は、京都大学准教授の柴田悠氏だ。通常、子育て支援の分析というと、子どもの健全な発達、親の健全な子育てに対して、親への支援を含む保育サービスなどの子育て支援政策が、どのような効果を持っているか分析するところだが、本書の面白いところは、子育て支援の副次的な効果を分析したところにある。

著者によると、「子どもの健全な発達を支援し、またそのために、親の健全な子育てを支援する」といった子育て支援本来の目的を前提に、「子育て支援がどのような経済効果をもたらすのか」や「政府の財政にどのような影響があるのか」といった子育て支援の副次的な効果を分析したとのことだ。そして、どのような分析結果が得られたのかというと、何と、今までの常識をくつがえしうる分析結果が得られたのである。

社会保障の政策の一部、特に子育て支援は、経済成長率を引き上げたり、財政を改善したりするという可能性が見えてきたのだ。さらには経済成長だけではなく、労働生産性を上げる、子どもの貧困を減らす、自殺を減らすなどの分析結果も得られたのである。

社会保障がお荷物扱いされることがなくなり、困っている人たちを助けるための政策が、国の財政を良くする。本書は、常識によって見えなくなってしまった日本の未来を、もう一度、想像するために必要な一冊だと言える。

『働く君に伝えたい「お金」の教養 人生を変える5つの特別講義』著者 出口 治明(ポプラ社、2016/1/13)

ライフネット生命創始者出口治明さんが若者向けにお金の原理原則について書いた一冊。

本書のゴールは「お金のことで死ぬまで不安に思うことなく、楽しく生きていけるようになること」、「お金に支配されることなく、お金を支配できるようになること」。構成は、第1講「知る」編、第2講「使う」編、第3講「貯める」、第4講「殖やす」編、第5講「稼ぐ」編と体系的で、各編の最後にはまとめもあり、とても読みやすい。

お金に関する本の大半はお金の稼ぎ方について書いています。しかし、この本はお金を稼ぐ至るまでにも項目を設けて書いているところが特徴的。そういう意味でこの本の読むべきポイントは、前半部分の第1講~第3講にあるように感じました。

お金の不安は「思い込み」。人の不安を煽り、その先に儲かる人がいる。不安を煽るニュース、本、商品の宣伝、こういったものを見たときに「これで儲かるのは誰だろう?」と考えるクセをつける。そして、自分で政府やきちんとした民間機関が集計・分析したデータを探して、偏見を持たずに自分のロジックを組み立てる。この2点について第1講で書かれています。
これがまさに本書の一番のキモだなと思いました。こういう観点でお金を使ったり、貯めたり、殖やしたり、稼いでいけば本書のゴールは達せられるように感じます。お金を使う自分の基準は何か?貯める基準は?殖やす基準は?稼ぐ基準は?と考えて、周囲に惑わされない。こういった観点を大事にして自分のお金観を養っていくことの重要性を学べます。

もちろん、お金の知識の部分についてもちゃんと書かれていますし、若者向けとはいえ実際には他の年代に人にも役立つ内容なので、お金についてもっと深く考えたいと思っている方全般におすすめです。

https://goo.gl/Na1GnX

『新バーテンダーズマニュアル』

 

本書は1987年に刊行された『バーテンダーズマニュアル』を改稿したものである。『バーテンダーズマニュアル』は30年以上に渡りバーテンダーにとどまらず、洋酒に関わる人間全ての唯一の参考書であり日本の洋酒産業とともに読まれて来た一冊である。

本書の内容は酒場学、バーの商品学、バーの設備(機器)・器具、カクテルの基本技術、カクテルのレシピ158からなる。酒場の歴史から始まり、バーテンダーとしてのあるべき姿、身につけるべき調理技術そして、接客技術。バーの開店前、営業中、閉店後の仕事。各種洋酒の知識、バーに必要な設備と使いかた。グラスの使い分けと洗いかた磨き方。そして最後にカクテルの作り方とレシピ。20年以上読み継がれているマニュアルというだけの内容が凝縮されている。

もちろん本書はバーテンダーの方、バーテンダーを目指す方、お酒に関わる方、飲食店での接客を行う方には必読の本だと言える。しかし、バーが好き、バーに興味がある、お酒が好きと言った方にもオススメしたい。お酒に関する知識が網羅的にまとめられているため、普段飲んだお酒がどういうものかを本書により見返しながら楽しむと、より良いお酒との付き合い方ができるだろう。酒、バーには長い歴史があり、知識とともに楽しめるところがお酒の醍醐味ではないだろうか。

 

新バーテンダーズマニュアル

新バーテンダーズマニュアル

 

 

登場人物の心情の揺れが伝わる作品です。『ビブリア古書堂の事件手帳(全7巻)』著者 三上延(メディアワークス文庫、刊行期間2011年3月25日〜2017年2月25日)

本自体には2種類の物語がある。一つはその本の中身の物語、もう一つはその本自体が人から人へ渡っていく中で重ねられていく物語だ。本書はそれらをテーマに、鎌倉を舞台にしたビブリア古書堂という古書店に関わる人たちの物語で構成されている。

登場する人物は一人一人が秘密を抱えており、物語が進むにつれ解かれていく。まるでページをめくるように事件と登場人物の関連性が明らかになっていくストーリーが心地よい。

ビブリア古書堂の店主 篠川栞子の古書に対する好奇心は、ある種の狂気に近い。普段は人との会話ですらままならないほど大人しい性格だが、ひとたび古書に話が及ぶと、一切の曇りなくその魅力を語り始める。篠川栞子やアルバイトで入った五浦大輔の身の回りには古書好きの人間が集まり、また事件も古書にまつわる。物心が着いた時から古書を愛する篠川栞子は、読書を通して培った知識力、洞察力、分析力を通し、事件に隠された謎を解き明かす。

解き明かされた謎の背景が、丁寧に救われることが本書の魅力だ。人は少なからず事情を抱えている。篠川栞子は洞察力の鋭さから、時には本人の意思には関係なく、謎の背景にある登場人物の事情まで見抜いてしまう。その事情に対しどう向き合うかという心の揺らぎにも、読み進める上ではぜひ注目していただきたい。

これで英語が話せるようになる!(はず) 『会話もメールも英語は3語で伝わります』 著者 中山裕木子 (ダイヤモンド社、2016/10/14)

本書はタイトルの通り英語はシンプルでも伝わることを書いた本です。

なにごともシンプルにすることは、簡単なようで難しいと思いますが、本書では英語で伝えるには下記はいらない、捨てて大丈夫であると書いています。

1.イディオムはいらない
2.否定形の文はいらない
3.受動態はいらない
4.時制は現在形、過去形、現在完了形しかいらない
5.仮主語、仮目的語のitはいらない
6.there is 構文はいらない
7.難しい英単語はいらない

これだけいらないものがあればかなりシンプルになっているとわかって貰えると思います。
これだけシンプルにしても伝えることはできるんです。

そもそもなぜシンプルな方がよいかというと、著者の長年の経験から、シンプルでないと、結論がすぐに伝わらない、文を組み立てるのが大変かつ間違えやすくなる、コミュニケーションが遅くなるからであるといいます。

この本を読んで、シンプルな英語を身に付けガンガン海外に行きましょう!

自分の人生をコントロールする『自分を操る超集中力』 著者 メンタリスト DaiGo(かんき出版、2016/5/27)

本書は、長い試行錯誤の末に、高い集中力を手に入れた著者の実体験と、それを踏まえた、集中力を科学的に高める方法を紹介した本である。

著者は、日本唯一のメンタリストであり、企業の研修やコンサルの他、テレビ出演、ニコニコ動画など、多方面で活躍する DaiGo 氏である。そして、現在のそれらのポジションを手に入れることができたのは、すべて集中力のおかげなのだと著者はいう。

しかし、そんな著者もかつては、両親や祖父から心配されるほど落ち着きがなく、集中力がない子どもだったそうだ。現在の著者の活躍からは、子ども時代に集中力がなかったなど全く想像できない。

ということは、集中力は、持って生まれた才能というわけでもなく、正しい理論を身につけ、トレーニングすることで、著者と同様に集中力は強化できるものだということが分かる。

では、著者はどのようにして集中力を得たのか?

それを著者は、“集中力を高めるために大切なのは、1つの行動にフォーカスし、着実に習慣化すること”、また、“目的からやるべきことを絞り込み、的を絞って集中する術を身につけたことで、集中力をコントロールできるようになった”と言っている。

これらから、集中力を得るために大切なことは、“1つの行動にフォーカスすること”であり、さらには、考えなくても勝手に動くという状態、つまり、習慣化することによって、高い集中力を手に入れることができるのだ。

特に、第1章 集中力を自在に操る3つのルールで説明している、集中力の源である前頭葉のウィルパワーについては、ぜひ知っておきたい。このウィルパワーは一定の量があり、集中力を使うことによって消耗していく。しかも、仕事、プライベート関係なく、行動するだけで減っていくのである。

このことに関しては、本書では、トレーニングによってウィルパワーを増やす方法と、日々の行動や習慣を変えることで、ウィルパワーを節約する方法を解説している。しかも、すぐに始められ、かつ効果がすぐ現れるものばかりなので、実際に本書を手に取ってみてほしい。

幸せのコツを探しに『君の膵臓を食べたい』著者 佐野 よる(双葉社、2015/6/19)

あなたに大切な人はいますか?
もし生きてそばにいるなら大切にしてください。
あなたの目の前から、突然いなくなるかもしれません。

ドラマや映画のワンシーンで、
「失って初めて価値に気づく」と言う人がいます。
現実でもドヤ顔で言ってくる人いますよね。
しかし本当にそうでしょうか。
僕はこの言葉に疑問を感じます。

つまり失わなければ価値を実感できない、と言いたいわけです。
そんなハズありません。
これはただの言い訳です。

あなたはこの考え方に賛成?

ではここであなたに1つ質問です。
3ヶ月後に失うとわかっている大切な人がいても、
あなたは価値を見出せませんか?

そんなわけありませんよね。
いつも当たり前にしている会話を愛おしく感じ、その時間を大切にしようと誰だって思います。

というより、全ての物体が明日も存在している保証はどこにもありません。
地震津波、急な病気など何が起こるかわからない。
昨日と同じ日常が、明日もあるとは限らないのです。

僕がなぜこんな話をするのか、
それは本書を読んだからです。

ヒロインである女子が、あなたに「生きるとは何か」を問いかけてきます。

本書の内容は、主人公の冴えない男子学生があるきっかけを機に、同じクラスの女子と仲良くなるお話です。そこから2人は仲良くなり物語は進んでいきます。

「どうせ感動させて終わりのよくあるパターンだろ」と僕は読みながら感じていました。

しかしその予想は大外れ。
予想外のラスト。
これほど生きる意味を考えさせる作品は、他にないと思います。
それほど衝撃的でした。

本のキャッチコピーに、
「読後、きっとこのタイトルに涙する」
と書かれています。
最初は言ってる意味がわかりませんでしたが、
恥ずかしながら本当に涙しました。

読めばあなたも、意味がわかるでしょう。
ぜひ、読んでみてください。

 

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)