ライフネット生命創始者の出口治明さんが若者向けにお金の原理原則について書いた一冊。
本書のゴールは「お金のことで死ぬまで不安に思うことなく、楽しく生きていけるようになること」、「お金に支配されることなく、お金を支配できるようになること」。構成は、第1講「知る」編、第2講「使う」編、第3講「貯める」、第4講「殖やす」編、第5講「稼ぐ」編と体系的で、各編の最後にはまとめもあり、とても読みやすい。
お金に関する本の大半はお金の稼ぎ方について書いています。しかし、この本はお金を稼ぐ至るまでにも項目を設けて書いているところが特徴的。そういう意味でこの本の読むべきポイントは、前半部分の第1講~第3講にあるように感じました。
お金の不安は「思い込み」。人の不安を煽り、その先に儲かる人がいる。不安を煽るニュース、本、商品の宣伝、こういったものを見たときに「これで儲かるのは誰だろう?」と考えるクセをつける。そして、自分で政府やきちんとした民間機関が集計・分析したデータを探して、偏見を持たずに自分のロジックを組み立てる。この2点について第1講で書かれています。
これがまさに本書の一番のキモだなと思いました。こういう観点でお金を使ったり、貯めたり、殖やしたり、稼いでいけば本書のゴールは達せられるように感じます。お金を使う自分の基準は何か?貯める基準は?殖やす基準は?稼ぐ基準は?と考えて、周囲に惑わされない。こういった観点を大事にして自分のお金観を養っていくことの重要性を学べます。
もちろん、お金の知識の部分についてもちゃんと書かれていますし、若者向けとはいえ実際には他の年代に人にも役立つ内容なので、お金についてもっと深く考えたいと思っている方全般におすすめです。