最近、僕は小説を読むことにはまっている。いや、高校生の頃からの趣味ではあるが、読書が自分は好きなんだと改めて思った小説だ。この小説に、大事なことは何だと問いただされたような感覚を持っている。狭くなってしまったこの日本で、多くの人にぜひとも読んでほしい一冊だ。この本は、短編小説集で、隙間時間にでもサクッと読めてしまう。僕は、ハマって一気読みしたのだが(笑)。しかし、そんな気難しくない、何の変哲もない小説からでも、悟るようなことはあるのだ。今回は、それを書いていこうと思う。
まず、僕がもっとも救われたセリフがある。「プライベートまで、完璧に過ごす必要なんてない」という、登場人物の言葉だ。主人公は、この言葉に心打たれたような仕草を表現していたが、実際僕自身も響いた。趣味のテニスも、読書も、数学も、理科も、「きちんと理解しなければ」と思っていた。すると、そう思うほど活動から遠ざかってしまうのだ。しかし、今小説を通じて、気づいた。「80%、いや70%でいいのだ」と。この小説は、短編ながら、世の中の心理をついている。その点で、非常に学びになる本だと言えるだろう。
また、こうも思った。「自分の欠点をあげつらって、詩文を責めても、何の得にもならない」である。この小説を読みながら、僕は自分の生活を思い返していた。大体、僕の悪いところ、いわば欠点を言われ続けていた、という過去である。家でも、周囲の人から「忘れ物が多い」「なくしものが多い」とさんざん言われてきた。どうしても治らなかった。そして、いつしか「失敗すると怖い。怒られる。自分だって失敗するのに何で責められるんだろう」と叫ぶように思っていた。しかし、その分、いいところもあるのだ。欠点が多ければ多いほど、それは長所もあるということである。何より、多くの特徴を持っていて、それはそれで面白いのだ。それに、自分と向き合っている証拠でもある。そのことを、この小説を読んで。改めて気づいたのだ。「しっかりしなきゃ」、という言葉が、自分を苦しめるきっかけになるのかもしれない。
本書の帯には「疲れた人が来る場所」とある。僕は、「疲れた人が読む本」と言いたい。気づかないうちに完璧主義になっていた。この本は、そんな疲れている人にぜひとも読んでもらいたい本だ。また、次々と多くの人の目線で紡ぎ出される物語も、読みどころだ。
僕は、この本を読んで、自分が精神的に楽になったという身軽さを今は感じている。
参考文献
丸井とまと(2023)『まどろみハーブティー 吉祥寺シェアハウスの優しい魔法』マイクロマガジン社