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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】こうして僕は数学のとりこになりました『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』

 

 数学を、皆さんはどのようにとらえているのだろうか?恐らくつまずいたという人が多いだろう。何を隠そう、僕も数学につまずいた人間の一人なのだ。小学校の頃は、算数の学力テストで94点を取ったこともあったが、中学に入ってかなりつまずいた。膨大な量の問題と、一気に複雑となった概念。そして、一定の速度で進むカリキュラム、部活で疲れすぎ勉強に回す余力も残っていなかった。そして、長らく数学を放棄してきた。だが、この本を書店で見つけて、人生が変わった。そこで今回は、「数学がいかに魅力的で、かつ人生において重要か」を熱弁した本を紹介しよう。

 まず、この本で面白いのは、軽く数学史から振れている点である。例えば、「-(マイナス)が何で生まれたの?」とか「そもそも数学って何で生まれたの?」といった点である。つまり、この本がうまいのが、まず読者の「何故」に、好奇心をかき立てるように答えている点だ。僕は塾の講師をしているが、この本の内容を何度も授業で話している。そのくらい、この本は、数学アレルギーの人におすすめの本なのだ。そもそも、「数学は『誰が見ても明らかな客観的な指標を示すために生まれた』学問」であるという、根本から解説している本である。例えば、カーナビが「この先ちょっと行ったら右」なんて案内したら、どうなるだろうか?「いや、ちょっとってどのくらいだよ!」とツッコミを入れたくなるだろう。つまり、数字を含めた数学があるから、僕らの生活を支えてくれているのだ。それを教えてくれるからこそ、この本は読む価値がある。

 そして、もっともこの本が面白いのは、何と中学のカリキュラムをほとんどバッサリカットしているのだ。そして、「中学の数学で本当に大切なのはこれとこれとこれ!」と言う形で解説しているのが、実に見事なのだ。つまり、中学校のカリキュラムは中学生を「これどこに向かってるの?」と迷子にさせるので、すっきりさせる必要があるよね、という理論の下、構築された本なのだ。実に考えられた本である。だからこそ、この本は一読する価値があるのだ。なので、この本を読むと、数学は案外役に立つし、面白い学問なのだ、ということが伝わってくる。僕は、この本を何度も読み直している。

 この本の著者である西成活裕は、東京大学にある先端科学技術研究センターの教授であるが、かなり面白いことをしている。何と、「何で渋滞が起きるの?」というのを数学で研究する「渋滞学」を作った人なのだ。つまり、渋滞を公式化しようと試みている先生だ。更に、高校数学でやる「微積分」の概念を、小学生に理解させている。この先生は、ホリエモンチャンネルにも出演している。ぜひとも、一度見ることをお勧めする。

 僕はこの本をきっけに数学を学び直そうと決め、今では趣味でチャート式の数学の問題を解いている。塾では、数学も教えている。数学が苦手な人でもここまでなれるのだ。その出発点となる本だ。ぜひとも、数学でつまずいた人は、この本を読んでみてはいかがだろうか?

参考文献
西成活裕・郷和貴(2019)『数学の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』かんき出版