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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】大人になって絵本は読んでこなかったんです。でも、この本に出会って、僕は考えを変えました。『はたらくっ!にゃんこ兄弟 今日も1日おつかれさまでした。』

 皆さんは、絵本を読んだことはあるだろうか。小さいころにはたくさん読んだ、という人は多いだろう。では、大人になってからも絵本を読んだことがある人は、どのくらいいるのだろう。いいかえると、大人になってから、どのくらい絵本を読んだだろうか?告白しよう。僕は、絵本は読んでこなかった。無意識に、「小さい子供が読む本である」と思い込んでいたのかもしれない。しかし、本書を読んで、その考えが変わった。絵本からでも学べることはあるし、絵の描き方や自分の感性を見つめるのに絶好の機会でもある。そのことを痛感したのだ。今回は、ぢゅのさんの著書である『にゃんこ兄弟』から、書評を書いていく。

 まず、この著者さんの面白いところは、「僕たち人間がしている日常のありふれた光景」と「猫」を組み合わせたところだろう。そして、これは僕個人の感想だが、この本が、僕たちの日常生活を代弁している。例えば、「朝なかなか起きられない」という場面があるとする。僕も、かなり朝弱い方であるが、これを猫にすると、実に愛らしく思えるのだ。何より、癒される。「分かるわぁ」などと共感もする。実際僕も共感した。読んでいる時に「何だこの本は!放ってはおけないかわいさを持っている猫が、自由に僕たち人間のように生活しているではないか!」と言ったほどである(文字通りの意味で)。人間は、第3者のように、自分から距離を置くと、余裕が生まれるものである。それを痛感させてくれる絵本だ。

 また、猫特有の動きもしっかりと盛り込まれている。例えば、ロボット掃除機だ。よく、Twitterの映像などで、動いてルンバの上に座って室内ドライブをしているような猫がいるが、そのこともしっかりと再現されている。また、ドラム式洗濯機の中に入ってみたり、じゃれあってみたり。色々な「猫の動作」も、この絵本では忠実に再現されている。つまり、この本では、現実の人間生活に近づけつつ、なおかつ猫らしさをも引き出されている、非常に、いい意味で作りこまれている本なのだ。僕は、これほど読んでて面白い絵本に出会ったことはない。ページは短いが、その中でも表現されているので、かなりぢゅのさんのことを尊敬している。

 この本は、ぢゅのさんによって書かれた、ショートストーリーの絵本である。猫を現実の世界の生活と組み合わせている。ぢゅのさんは、Twitterで猫のイラストを投稿している絵師さんで、様々なグッズを出している。僕は前からぢゅのさんのファンで、よく投稿を見ている。もともと僕自身無類の猫好きである。この本も、届いてから何回も読み返している。そのくらい、価値のある本なのだ。この本を書いてくださったぢゅのさんには、及ばずながら、とても感謝している。

 最後に、本書はただの絵本ではない。日ごろの生活を見直し、自分の感性と向き合える、絶好の本である。疲れた夜に、僕は夕飯を食べながら読んでいる。仕事終わりに読む「今日も一日お疲れさまでした」というフレーズが、とても気に入っている。僕に「読書で一日を終える」という習慣を作るきっかけとなった本だ。ぜひ、ご一読いただきたい。

参考文献
ぢゅの(2023)『はたらくっ!にゃんこ兄弟 今日も1日おつかれさまでした。』小学館クリエイティブ