HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】幕末維新は朱子学と長州藩を中心とした理解が必要!『コミック版 逆説の日本史 幕末維新編』

『コミック版 逆説の日本史』も戦国三英傑・江戸大改革と続き、いよいよ幕末維新編に突入します。ポイントは「なぜ日本の開国と近代化は遅れたのか?」である。この問いを理解するキーワードの1つは江戸大改革編と同じ朱子学である。

朱子学にある「祖法」と言われるもので、過去の慣例を変えない事が大事である。また士農工商という身分制度もそうで、特に武士階級から見た商売や商人に対して非常に大きな偏見を持っており、商い=悪と決めつけるようになってしまいました。これが原因で共存共栄の貿易を目的に武装解除してまでやってきたロシア・アメリカなどの外国船を追い払ったりして、オランダ以外との貿易を全て拒否してしまいました。これが結果として西洋に技術力や外交で負けてしまうような結果となってしまった。

もう1つのキーワードである「長州藩」も理解する必要があります。彼らが朝廷側の敵になったり、味方になったりと非常に複雑な動きをとっている事を分かりやすく解説しています。この2つを理解しながら「なぜ日本の開国と近代化は遅れたのか?」に迫っていきます。

また一方で長州の特徴として、下が上官の命令を聞かずに独断で実行してしまう事や思い込みの強さなどで、苦労や失敗をした内容も書かれているが、結果的に明治維新になり事実を書き換えた事でこのような内容は歴史教育ではなくなっているのも面白いところです。こういった失敗は、のちの軍部の暴走との因果関係にもつながっているので、歴史は繰り返すというのはまさにそういう事だと感じました。

後半には最後の将軍徳川慶喜をめぐる動きや彼の政治家としての実績も井沢氏の見解が書かれているので、ぜひ読んでみてください。

著者 :井沢元彦(原作・脚本)、千葉きよかず(漫画)
出版社:小学館
発売日:2021年1月20日

https://www.amazon.co.jp/コミック版-逆説の日本史-幕末維新編-井沢元彦-ebook/dp/B08S3D8QM7/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1681219041&sr=8-2