1000年の歴史を持つ日本の伝統衣装「着物」。
現代人が着る機会は「成人式」、「結婚式」。浴衣を着るのは「夏の花火大会や夏祭り」程度である。
数百年前まで年365日着用されていた日常着が、西洋化が進んだことで出番はすっかりなくなった。
しかし、数年前からインバウンドの拡大に伴い、多くの来日外国人が日本文化に触れたことで着物の世界的認知度が高まった。
つまり、日本人が海外に出た時、パリッとしたスーツを着るより、着物を着た方が多くの方に関心を持もって頂けコミュニケーションを取りやすくなることになる。
そんなときに困るのが、和装に関する質問をされたときに、着用している本人が丸っ切り知識がないことである。
そんな場面で冷や汗をかく前に読んでおきたいのがこの書籍である。
絹で作られている着物は丈夫で長持ち、何十年もタンスに眠らせても美しさが損なわれない。例え持ち主が変っても仕立て直すことでサイズ調整可能。
親子3代着物として使い痛みが目立つようになったら、座布団や布団の袋として再利用。
布団が痛んだら雑巾として作り替えて、雑巾としての天寿を全うしたら燃料として使う。燃やしたあとに残った灰は、土壌改良剤のために畑に撒く。
こんなにサスティナブルに使えるモノも珍しい。
サッカー日本代表のユニホームに使われている色は「ジャパン・ブルー」と呼ばれる藍色。藍で染めた布は、抗菌、防腐、保温作用があるため戦国時代、兵士が好んで下着として身につけて、怪我をしたときに包帯として活用していた。
つまり、出陣を表している。
外国人に着物について質問され、着用している本人が分からない。そんな状態に陥る前に、着物について語れるネタを2~3仕入れておきたいものである。
『教養としての着物』
作 者:上杉 恵理子
発売日:2022年9月30日
メディア:自由国民社