HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】人それぞれの道『学校』

 

 1970〜80年代、東京都江東区にある小松川第二中学校の夜間学校での話。そこは「内鮮結婚」「南米移民」などの国策の影響により日本語をまともに学べなかった者や、植民地政策や民族差別のために学校にまともに通えなかった在日朝鮮人などが勉学に励む。国の勝手な都合で学ぶ機会を奪われ、完備しているはずの日本の教育機関には行くところがない、そんな者たちが様々な思いを胸に通うところである。

 本書の構成は実際に夜間学校に通っていた6人の生徒の「歴史」というショートストーリーで描かれている。それは客観的に見れば不幸な人生と感じる。しかし、そんな逆境でも力強く生きる生き様が描かれている。本書の時代は高度経済成長が終わりを迎えた日本であったが、そんな事も関係無しに不遇な思いをしている者達のリアル。戦後は続くよどこまでも、そんな者達の生涯が本書にはある。

 多様性が受け入れられてきた昨今では、夜間学校は年齢問わず様々な境遇の方が来るので、これからの時代の学びの場としては最適ではないかと思った。そして、そこに来るものは、みんな勉強したいために通うのである。強制ではなく任意でくるのだ。そんなもの達が集う環境では義務教育よりも、良い刺激が多そうだ。

著者