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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】おおまかな英語の歴史と英語学習における謎『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』

 

本書は、英語の雑学を体系立てて説明し、読者の英語観を改めるものだ。大学生以上の英語学習者、研究者、教員に向けて書かれているが、中学生以上の一般人でも興味深く読めるだろう。

まず、雑学として面白い。そして英語史の眼鏡を通すと疑問の本質を見極められる。なぜ-lyをつけると副詞になるのか、なぜ If I ”were” a birdとなるのかといった疑問も本書を読めば、その疑問自体の印象がまるっと変わることになる。それに、種々の雑学が組み立てられ一つの物語として頭に入ってくる。冒頭に英語の変化の大まかな流れがのっているが、見開き一ページのおまけとしてのるのではなく、なんと一章丸ごとを導入につかっている。これによって本書はある種の雑学本とは違った味わいになっている。英語史の世界に誘われているのである。

全く英語史に興味のない人にこそ本書を手に取ってもらいたい。言語学に触れたことがない人にそのきっかけの一つにしてほしい。言語学は普段と別の観点から物事を見る。それは読者の見識をきっと広めてくれるはずである。

英語をただ習得するための英語学習とは、うちから沸き起こる疑問の霧のなかを松明をその手一つに前進するようなものだ。本書はその霧を晴らすことができる。その点からすれば、これは英語学習者にとっての太陽かもしれない。歴史を知ることで、ただの雑学として知るよりも万倍も面白くなる。ぜひ一読して知的好奇心を刺激し、知識を吸収してほしい。