「正義中毒」は3つの思考パターンからなる。(1)間違ったことが許せない(2)間違ってる人を徹底的に罰しなければならない(3)間違ってるのだからどんなにひどい言葉をぶつけても構わない。本書は「正義中毒」の仕組みをマンガで解説する。
まず「議論」に慣れていない国民性を指摘する。「対立意見」を「人格否定」と捉えてしまう問題である。つまり「意見」と「人」を切り離すことができない。これはほぼ単一文化の日本に起こりやすいと解説する。
個人にはいろんな顔や意見がある。1人の個人が多様な意見をもつ。1つの意見が1人の個人を否定する理由にはならない。それを理解することが大切である。
またSNSと「正義中毒」はとても相性がいい。閲覧履歴などから自分にとって都合のいい「正義」をSNSが提示してくれるのである。自己学習型のアルゴリズムは便利な一方、「正義中毒」を加速させるのである。
評者はSNSいじめや炎上に加担したことは一度もない。自分に一切関係ない人たちに「許せない」という感情をもつことが理解できない。しかしそれらを見たことはあるし、「どういう思考なんだろう?」という興味は以前からあった。加担する人の気持ちは分からないが、メカニズムの大枠は少し理解できた。