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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】世界が恋する日本酒を手元に届ける日!『日本酒がワインを超える日』


日本酒というとどのようなイメージを持っているだろうか?著者は、「安かろうまずかろう」でもなく「高級品」「芸術品」でもない、身近にあってみなが気軽に飲める日本酒を目指している。日本酒のすばらしさを信じている著者が言う、世界中から愛されるワインを超える日本酒とは?!
岐阜県飛騨市にある150年続く酒蔵の9代目社長が描く壮大な夢のプランについての本である。人間に必要なものは言わずもがな衣食住である。著者はその上で人間が人間たるに必要なものとして遊知美をあげている。生きていくのに必要ではないものこそが、より人間らしくしているのである。ここで伝えたいのは、著者は昔ながらの酒造りを決して否定しているわけではない。いくら良い日本酒を作っていても、人の手に届かないのであれば意味がないということである。そのため、興味を持ってもらうために酒造イベントとして蔵まつりを開始したり、酒造りをストーリーにしたりと、酒造りそのものをエンタメ化したのである。
 論者は酒造りは保守的で伝統を守ることを大事にしているとのイメージが強かったため、この方向転換にはいささか驚いたと同時にチャレンジャーだと感じた。案の定、エンタメ化をした当初はいろいろな場所から批判があったとも書かれている。
 筆者の酒蔵は世界酒蔵ランニング2020で1位を獲得している。おそらく成功例と言われる酒蔵だろう。ここまで来るプロセスにおいて、「今まであるものをぶっ壊す」の精神だけで日本酒をエンタメ化してきたわけではない。日本酒はその名のとおり日本古来からある酒である。日本酒が大好きな人として、好きだからこそ、より多くの人が手にし、飲み、楽しむ世界を作れるように日々奮闘している人の本である。著書の精神は日本酒造りだけではなく様々な分野のビジネスにおいても活かせるだろう。そんな情熱を感じた。