この小説の題名となっているディアスポラとは、離散という意味です。
旧約聖書に出ている話で、古代のユダヤ人達が強制的に異邦人の土地へと離散したということを意味しています。
この小説が書かれたのは2001年。その舞台は原発事故後の日本人。
福島の311の原発事故より前に書かれていて、当時予言の書とも言われました。
表題の1作品は原発事故により中国に逃れた家族の物語。
そして、もう一つ収録されている【水の行方】では、事故でダメになってしまった酒蔵の酒造りを復活させるシーンが描かれています。
この小説の凄みは何と言っても文章の美しさにあると思います。
圧倒的な知識から撃ち出される文章は、正に現場を見て来たからこそのものです。
勝谷さんと言えばテレビで舌鋒鋭く論説し、時に放言暴言を吐きまくってるという印象が皆さんにはあるかも知れません。
しかしこの小説読むと印象が変わると思います。
彼の美しさに憧れて憧れて紡ぎ出したであろう悲しいまでのナルシシズムに触れる事が出来ます。
たった1人で、酒を呑みに呑み潰れていった勝谷さん。
僕は貴方の小説をまた読みたいと願ってました。
何で小説書くのを辞めてしまったのでしょうか。
それを続けていれば、酒に潰れる事なく、まだ元気だっただろうなぁと思うと残念でなりません。
- 作者: 勝谷誠彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/07
- メディア: 文庫
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