学生の頃、学校特有のあの管理されている感覚に、いつも不自由さと不快感を感じていた。決められた場所で、決められた時刻に、決められたクラスメイトと、勉強して運動する。今になって考えてみると、あんなに受動的な姿勢で、どうして勉強や運動を好きになれるだろう。我慢して嫌々何かをした先に、残るものはあるのだろうか。
HIUは、それとは真逆の環境だと思う。自分の好きなことを好きなだけできる環境がそこにはあり、その環境は、自分の行動次第で無限に広がっていく。実際にそれを体現している人たちを、本書では垣間見ることができる。
例えば、ヘアスタイリストを目指すゼロ高生が登場する。彼がゼロ高に入ったきっかけは、地元の進学校で周りの友達の進路の決め方が偏差値だけだったことに、違和感を覚えたこと。そのまま周りに流されてしまう人が大半だが、彼は自分が感じた違和感を大切にした。そしてゼロ高に入ることを自分の意思で決断した。それからはヘアスタイリストへの道をひたむきに突き進んでいる。
他にも、まだまだマイナーなナーフというゲームをより多くの人に広めたいと活動するサバゲーオタクや、野球部の活動に邁進するHIU野球部キャプテンなどが登場する。HIUではそれぞれが好きな方法で、好きな方に向かって、そこで出会った仲間たちと活動している。ここで大切なのは我慢することではなく、いかに大人げなく、クリエイティブで楽しい人生を送るか。きっとそれに尽きるんだろう。
良い意味で、大人げない大人たちが活躍するHIUの魅力が詰まった本である。評者もちょこっとだけ登場してるので、読んでみてね。