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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】人口は減り続ける! ・・・ということは 『未来を見る力 人口減少に負けない思考法』

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「人口減少を止める」、「少子化に歯止めをかける」などウケの良い言葉を言う人も少なくない。
そんな言葉の数々に対して「待てよ!もっと現実を見ろよ!日本の人口は今ですら年間50万人減っているし、2040年代には年間90万人減る予測だ。人口に関する未来予測は大きくは外れないのだから!」と、日本の人口減少について現実的に分析して、戦略的に対応しようとするのが本書だ。

少子高齢化による労働問題において生産年齢人口の減少ばかり取り上げられ、生産年齢人口を増やすために外国人やシニア層の活用という言葉が盛んにきかれるが、ちょっと待ってもらいたい! 生産年齢人口が減るということは、その分、お金を使う若い消費者の人数も減っていくということだ。企業では過去の実績と比較して業績目標を掲げ、目標達成のために人件費や広告費等をかけて投資を行うのが常である。しかし、それは消費者の人数が減らない時代に通用した考え方だ。目標を達成できない要因について自社の営業努力の問題に過ぎないと考えているだけだと訳の分からないまま企業経営が行き詰まる、そんな時代が今まさに迫っている。その変化に気づき、対応しよう。

若い消費者の人数が減るだけでなく、歳をとる分、消費者のニーズも異なっていく。高齢になれば記憶力が低下する。耳も遠くなるし、目も悪くなる。体力も低下するし、頭の回転も鈍くなってくる。そうなると複雑なものは売れにくくなり、より単純化された製品やサービスが売れていくだろう。例えば自分に置き換えてみる。自分が80歳になっても今と同じようにスマホの操作をしているだろうか。その時にはスマホという概念のものはないかもしれないが、他の物だとしても同じような操作ができるだろうか。エアコンにしても、細かい設定をするのではなく、スイッチの入/切のみがあれば良い、逆にそれ以上の設定ボタンがあると混乱するような気もする。このように売れる商品のニーズも変わってくることが予測できる。

著者の河合雅司氏は作家・ジャーナリストで人口減少対策総合研究所の理事長も務めている。本書の他にも『未来の年表』、『未来の地図帳』など今後の人口減少社会で日本に起こる事、そしてそれに対応していくための術を多く解説している。

本書はこれからの人口減少社会に何となくの不安を抱いている人にオススメしたい。「人口減少ってよく聞くけど、何とかなるんじゃないか。未来にはそれぞれの技術も進歩しているのだし。」そんな風に漠然と思っている人が、本書を読むことで現状を認識し、人口減少に対して怖がらずに戦略的に対応することができるようになる。キーワードは「戦略的に縮む」だ。