ファシリテーターとは、ただ会議を進行する人ではなく、”場づくりを演出する人”のことである。会議をデザインし、会議をリードし、参加者にとって心地よい場づくりをすることが求められる。みんなの頭の中の情報をいかに引き出せるか。安心安全の場をいかに演出するかが重要になる。
そもそも、いったい何が「いい会議」なのだろうか。
「実のある会議ほど、ヒートアップするものだ」と思い込んでいる人がいるがそれは大きな勘違いである。会議に白熱するような議論は不要なのだ。ではヒートアップするときとはどんなときだろうか。
それは”自分の意見の正しさ”を示したいときではないだろうか。勝ち負けや正誤に話がすり変わると、建設的な議論からはどんどん離れていく。
会議がだらだらと長引いたり、結局何の成果も出なかったりする原因は、「いきなり、問題の解決策をみつけようとすること」にある。そのせいで原因と解決策がごちゃまぜになり会議は”ごった煮”の様相を呈する。
問題→原因の洗い出し→解決策の話し合い
これが正しい順番である。つまり、「問題」に対する解決策ではなく「原因」に対する解決策を考えることが会議を成功に導く大前提なのだ。
問題解決ステップを具体的に並べると、
問題発見→原因分析→解決策の選定→計画の策定
となる。そしてこれらは絶対に”混ぜるな危険”である。だから会議を正しい流れに導くファシリテーターの存在が必要不可欠なのだ。
本書では、それぞれのステップにおける具体的な手法やポイントが詳しく丁寧に解説されている。そして全体を通して著者がとても大切にしていることは、”会議における雰囲気作り”である。
ファシリテーターにはどこまでも「中立的である」ことが求められる。そのためには、参加メンバーを100%信じ、受け入れ、尊重することが基本となる。会議において最も大事にしたいのは「メンバーの納得感」である。
そのためにはいったん個々の考えを認めること。そして考えのみならず「その人」自身も受け入れるようにする。ファシリテーターのそうした心がけが、”安心安全の場づくり”に繋がる。
他者への関心、尊敬の念、
それぞれの人に対する時の丁寧なコミュニケーション
相手のことをしっかり思いやって喋ること
そしてこれらのことは人生におけるすべての場面で、一人ひとりが大切にすべきことではないだろうか。
「ファシリテーリョンを学ぶ」ということは「人間関係を学ぶ」ことにもつながる。むしろロジカルに学べるという点において、人間関係を諦めているような人ほど学ぶといいかもしれない。